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勇者がいないファンタジー世界で俺は……  作者: アルねこ
第1章 生誕編
22/92

第二十一話 お金で変えるもの

7/8 前半部分の冒険者ギルドのくだりを少し直しました。

 俺の密かなる計画が静かに着々と進む。


 シヴさんの前でかっこつけたもの、結局巻き込む形で計画が進む。


 計画の一部をシヴさんに話してみると、向こうも追々似たことを計画していたようであった。この街の組織図には冒険者ギルドという仲介がいる。何をするにしても仲介分のコストが掛かり、これが結構高いらしい。


 一部の冒険者が権力を振りかざしたかのように、世界の一端を牛耳っているようである。なんか俺が想像していたものとは違い、冒険者ギルドは随分と金に媚びた組織っぽい。


 やはり案内妖精(ナビゲートピクシー)の存在が大きく、何をするにしても冒険者ギルドが中心となるか、冒険者ギルドを通して仕事するという形が出来上がってしまっているとか。案内妖精(ナビゲートピクシー)を持っているだけでステイタスとなる為、護衛としては実力に乏しい輩も多いとか。


 そして傭兵ギルドと商人ギルドが下請となるようだ。腕っ節の強い傭兵ギルドを雇うこと自体には、無駄な金が掛からないらしいのである。相応に働いて貰っている為、傭兵ギルドと商人ギルドの関係は良好。


 そんなこんなで俺とシヴさん協力体制となり、傭兵ギルドも巻き込んでしまうと決めたのだ。向こうは何も知らないけど、別に悪いことをするわけではない為、積極的に攻めていく。後ろ盾が付いちゃうと、怖いもの知らずになってしまうとか、もうヤ◯ザだよ。



「今日はよく来てくれました、ニュトン殿」

「リューケン様が良い話と仰るようであれば、飛んできますわいワハハハハ」


 傭兵ギルドから来た中年っぽい男は結構豪快な人のようだ。


「先に紹介しておきたい方がいまして」

「初めましてノヴィと申します」

「これはこれは、この街の傭兵ギルド長ニュトンと申します。リューケン様直々とは相当キレるのでしょうな」


 シヴさんことは少し偉いだけの爺さんかなぁと思い込んでいたけど、思っている以上に偉い爺さんらしい。


 軽い自己紹介を済ませた後、早速『妖精の欠片(フェアリーピース)』ver.1を説明する。


「一体どうやってこれ程のマジックアイテムを手に入れたのでしょうか?」

「出処は今はまだ……ということで。このアイテムは現在我々が独占しております故」

「ムムムム。これ程のものとなると、やはりとんでも無い秘密を抱えているのですな?」


 俺がゴミ樽の木屑と、売れない天然磁石から作っただなんて言えない。言ったら価値が激減する。秘密というスパイスが妖精の欠片の価値を底上げる。


 そしてシヴさんが計画の一端を説明、もとい計画に巻き込む。


「ムムムム。確かに我々も辛酸(しんさん)を舐めておりましたからな。リスクはありますが、是非その計画に乗らせて頂きましょう」


 こうしてトランスペアレンシー・ファルファシオンが組織された。


 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 俺達が組んだその日から少しずつではあるが、街の体制が壊れ変わり始めた。膿を潰し、潰した傷を癒やすように。


 今まで街中(まちなか)を仰々しく振る舞っていた冒険者が、徐々にその勢いを弱め始めていた。暴力事が起きれば傭兵ギルドの者が、積極的に仲立ちしてくれる。目的とは若干違った副産物ではあるが、街の治安がいい傾向で改善される。


 活躍している傭兵ギルドといえば、直接商人ギルドから依頼が掛かるようになる。元々良好な関係であったことから、スムーズに仕事が進み、両者ともに給金の面でも僅かではあるが改善された。


 金で買えない幸せがあるように、金で買うことのできる幸せもある。俺があの日手に入れた『衣食住』は金で買うことができる。結局金なんて使いよう。


 この街は金の力で腐敗していたが、金を循環させることにより、街中で滞っていた毒を分散させたのである。ピラミッド型の組織ではなく、組織はできるだけ輪に近づける。中心であるトランスペアレンシー・ファルファシオンの存在は殆ど知られることがない。


 頂点にいた冒険者ギルドの人々がどうなるかは、正直知ったこっちゃない。散々自分達が威張り散らしていたのであるから、丁度良い薬になるであろう。新しく作った輪に入っていくか、出て行くかは彼等次第だ。俺とシヴさんとニュトンさんの3人で決めた一つの約束事である。もし彼等が頭を下げるなりして、この輪に入るようであれば迎えるということを納得の上で決めた。


 俺を含めた3人は、それなりに先を見通すことができる力があるつもりだ。この街から完全に冒険者ギルドが消えてしまうと、それはそれで困る可能性が高い。理想は彼等が改心し、いい形のギルドを運営してくれることだ。妖精の破片はあくまで力の一端であり、妖精や魔法の力を全てを体現出来るものではない。




 だが街の改善は俺にとっての作業過程。真の企みはまだ誰にも知られることの無いまま、水面下で着々と進む。

途中で出てくる『トランスペアレンシー・ファルファシオン』は【トランスペアレンシー・インターナショナル】が元ネタです。実際ググったり、wikiったりして頂けると詳しく分かります。


■トランスペアレンシー・インターナショナル

 →腐敗、特に汚職に対して取り組む国際的な非政府組織。



話しが短いですが、区切りが良かったので21話で上げました。

次回はこれが影響した他組織の様子なので、数話の間はノヴィ視点がお休みとなります。


※7/8に2~3話上がると思います。

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