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天体衝突

「本日の業務より、Excel による受注管理を始めます。これが Microsoft Excel 5.0 (日本語版) です。本日発売。今日出るものがなぜここにあるかと言いますと、昨夜のうちに買ってきたのです」


ということは、寝ないで設定とかしてたのか。裕太も驚いた顔をしている。


「この伝票、事務はこれまで箱に入れるだけでした。今日からは箱に入れる前に、入力をしてもらいます」

「仕事が増えますね」

「そうですね」

「大変そうだな」

「営業も大変になりますよ。後で説明しますね」


真顔になった。


「さて。何もかも準備済みです。このシートで受注入力をします。シートというのは本のページのようなものです。まずここ。数字が自動的に入っています。これが注文番号。今日の日付と注文順を合わせた数字です。次にここが顧客番号。お客様の番号を入れます。つまり営業は伝票に顧客番号を入れる必要があるのです」

「顧客番号ってなんですか」

「はい。一覧表を印刷しておきました。これです」


人名や住所が印刷されたA4紙が20枚くらい。


「君もパソコンで見られるようにしますから、しばらくはこれで。頻繁にご注文いただくお客様は30件くらいなので覚えちゃうほうが早いと思いますよ」

「あの、時間がないときはどうしましょう」

「そのときは空いてる人に頭を下げて書いてもらってもいいし、それは私でもかまいません」


なんだか震えているみたい。私も人ごとではない。仕事が増えると宣告されたのだから。


「顧客番号を入力すると VLOOKUP というのを利用して、ほら名前と住所が自動的に出てきます」

「すごい」

「ご新規さんはどうしますか。名前は入ってないですよね」

「美智子さんは理解が早そうで助かる。その場合は顧客マスターに追加する必要があります。新規取引は月に数件でしょう。それは当面私の仕事にします。とりあえずその注文分だけは手で名前や住所を入れてかまいません。顧客番号のところは空欄にしておいて」

「次に商品も番号で入れます。これも名前と単価が出ますね。それで小計と合計も出ます。消費税も自動計算。税率は変数なので変わっても対応できます。ひとつの注文で複数の種類の商品がある場合は5行まで、ここんとこに入力できます」


「商品番号がわかりません」

「それも一覧を印刷します。まあパソコンで検索するのが早いし、お客様にも番号で注文してもらうようにします。それは考えます。パソコンの場合はこっちのシートが商品マスター、隣が顧客マスター。見てもいいけど書き換えたら駄目ですよ。それは私が管理者です」

「それと番号が今まであった番号と変わってるものが多いんだけど、番号はほとんど使ってなかったから混乱はないでしょう」

「慣れるまでは私も手伝いますし、検索用のパソコンも追加します。入力が終わったらこの登録ボタンをポン。そしたら受注一覧シートと注文シートに追加されます。VBAというのをちょっと使ってみたのです」

「はあ」


「ともかく仕事は増えます。なので美智子さんにいっしょにやってもらうことにしました。美智子さん」

「はい」

「一台しかないので交代でやったり教えあったりしてうまくやってください。入力に関しては営業のほうも手を貸してあげてください。パソコン以外の仕事もうまく分けあって、問題があれば私に相談してくださいね。工場に回す伝票は今までと同じでいいです。でも戻ってきたら受注管理画面から納品済みのボタンを押してください」


結局、社長も斉藤さんも半月くらいは入力に手を貸してくれた。

営業の机の上には電話帳のような中古のパソコンが置かれた。IBM ThinkPad 700C だよと社長が言った。経理にもパソコンを入れるらしい。そして社長の言う通り、すぐ慣れた。いつも買うお客さん、いつも買ってくださる商品はだいたい決まっているから。伝票を書くのも名前や品物を書くより番号をさっと書いたほうが早い。裕太も見やすい対応表を自分で作って、さすが主任と社長に言われてた。パソコンに抵抗はなかったようで、商品を探すのに検索を使うようになった。カタログには注文番号表を差しこむことになった。

山下さんのアイデアで FAX 注文用紙も入れることになった。これは微妙に売り上げに貢献したらしい。


経理には PC-9801BA が導入された。2台の98をつなぐために、斉藤さんは秋葉原に必要なものを買いに行った。その斉藤さんが秋葉原から電話をかけてきた。


「ぷらっとホームの店員さんが、CバスLAN カードというのが2台分とケーブルがいるって言ってました。ケーブルはクロスなら一本ですむけど難しそうです。それよりもストレート2本とハブのほうが、台数が増えても使えて便利だそうです。どうしますか」


結局、ストレートと他のものを買ってきて、社長が夜に取り付けをしてくれると言っていた。


比野文具株式会社の登場人物

比野真二 社長

裕太 営業 IBM ThinkPad 700C

美香 事務 PC-9821Ae

斉藤さん 経理(週5) PC-9801BA

美智子さん(斉藤美智子) 事務(週5)

山下 営業(異動予定)

竹山 工場長 Filofax Winchester

今川 工場

林 工場

共用 EPSON LP-1500

お蔵入り PC-PR101/T101


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