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数え日 1/2

ハードディスクのシーク音が止んでから本体のスイッチを切った。顔を上げると裕太君と山下さんが内側と外側から窓ガラスを拭いているところだった。美香さんと斉藤さんはたぶん給湯室で換気扇の掃除だろう。がたがたと音がしている。


「ずいぶん早く戻ったんだね。昼には戻れと言ったけど」

「まだ行ってません。検品する者がいないので夕方にしてくれと電話がありました。だから掃除を先にしています」


さっきも言ったじゃないですかと裕太君は言いたげだ。でもそれをパソコンに夢中の社長に言っても仕方がないので、彼は何も言わないことにした。


「そろそろ出前が来るよ」


年賀状が終われば仕事納め、大掃除、棚卸しだ。給湯室を汚したくないので昼食には全員分のラーメンを頼んである。

まだすこし時間がある。今のうちにキーボードとマウスの掃除をしよう。キーボードは逆さにして叩く。マウスはボールを取り外してティッシュで拭く。爪楊枝でローラーの帯状の埃を取る。



出前の車が到着する音を聞いて工場組も続々とやってきた。


「ごくろうさまです。今川君のほうはどうですか」

「仕掛品の仕上げを終わらせて片付けの途中です。午後からは大掃除に入れます」

「林君はどう」

「俺は工場長と倉庫の整頓です。終わったらそのまま掃除です。棚卸しの時間には間に合います」


食後はきれいな給湯室にPC-9821Aeを避難させる。EPSON LP-1500 にはゴミ袋をかけてガムテープで止める。ここまでは今川君と林君にも手伝ってもらった。



「社長、外階段はどうしますか」

「朝のうちに私が掃きました。手すりはまだなので簡単に拭いてもらえますか」

「わかりました」



「天井の汚れを落とします」


すっきり片付いた事務机の島に裕太君が靴を脱いで上がるとベコベコと音がした。彼も穴の空いたゴミ袋を頭からかぶっている。足元を確かめて、手作りのハタキでまんべんなく払うとクモの巣と白い埃が落ちてきた。


「次はエアコンです」


天井固定型エアコンの左右のロックを外すとカバーが開く。それを手で受け止めてプラスチックフィルターを取り外した。


「山下さんは外でフィルターの洗浄をお願いします。工場から粉石鹸をもらってタワシかモップで、あまり力を入れないで洗ってください」

「はい、わかりました」


夏まで室内で喫煙されていたのでエアコン内部は汚れていた。裕太君がカバーを左手で支えながら、右手でマジックリンと雑巾を使う。器用なものだ。


「支えるの手伝おうか」

「大丈夫です。すぐ終わります」



女性ふたりとともに壁の時計の枠、電話機、椅子の脚、玄関マット、書類棚の掃除を次々と終わらせる。エアコンも完了のようなのでフィルターとカバーを戻す。最後に机を拭き上げて品物を元の位置に戻し、事務所の大掃除は終わった。このあとは棚卸しと納会。ほぼ予定通りの進行だ。


「では年内、最後の納品に行ってきます。夕方に戻ります」

「物品移動はもうないですね。帳簿も受領書が返ってくるまで使わないでしょう。では事務所はここでロックします。斉藤さんは固定資産を確認してください。私と美香さんは工場に合流します」


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