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フラグメント

家探しでもするようにパソコンのあちこちを覗いたり、開いたりしていた社長は、背伸びをしてから自分の机に戻った。パソコンは電源を入れたままだ。それから朝読んだ新聞をまた読み始めた。しばらくすると机の引き出しを抜いてひっくり返したり、その引き出しの奥を覗き込んだりした。そしてまた立ち上がって、棚の資料を一冊ずつ取り出して眺め始めた。そろそろ声をかけたほうがいいだろうか。


「社長、何かお探しですか」


考えるような顔でこちらを向いて、社長は言った。


「うん、フラグメント」

「はあ」


資料棚の端のボールペンのストックをひっくり返して、次はフロッピー。ラベルに書き込みのあるものだけを引っ張り出して眺める。


「ねえ」

「はい」

「この住所録ってなんだっけ」

「筆まめのです。年賀状の。今年使うのはまだ先ですよ」

「管理者は誰。管理手順は」

「私です。手順は、年賀状の季節になったら、新規ノートから打ち込んでいない分を探して打ち込みます。それから古いお客さんの名前を社長が消されることもあります」


知ってることをわざわざ質問する社長の考えがよくわからない。それに机や棚をひっくり返して探してたものってこれなのか。


「よし。じゃあそのノートにあって、ここに打ち込んでいない分もありますね」

「去年使ってからのお名前は入っていません」

「わかりました。それ後で見せてもらうかもしれません。ありがとう」


筆まめの住所録を顧客マスターの原型とする。

カタログ制作時の一覧表も PC-9821Ae に一太郎のファイルが入っていた。これも商品マスターの原型とする。

材料が手に入ったぞ。


Excel で、受注票から顧客マスターと商品マスターを参照させる。在庫の管理は行わない。

大雑把であれば在庫管理も今すぐできる。しかし頼りにならないものを頼りに仕事をさせるわけにはいかない。今後の課題だ。

納品書と出庫指示書の印刷ができて、受注票で納品済み、集金済みがわかればいい。さあ、どこから手を付けるか。


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