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流星マスター  作者: つむ
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第一宇宙速度

INSネット64の工事はすでに終わり、AtermとLANへの接続と設定は紹介された業者にお願いした。リムネットのアカウントが開設されればインターネットを使えるようになる。

Performa 588 を見た業者さんはすこし不安そうな顔をしていた。問題は生じなかったようでよかった。

数日後、社長がリムネットから届いた書類の内容をパソコンに入れていた。


設定が終わり、接続ボタンをクリックすると、TAが無音でデジタル接続を開始した。さらに、全部のパソコンに設定をしてダイヤルオンデマンドに設定した。誰かが自分のパソコンでインターネットを使おうとするとルーターが検知して、自動的に接続が始まるのだ。使い終わって一定時間で自動的に切断するという設定があって、社長が本を見ながらやっていた。


ISDN は1本の線で2回線分なので、インターネットをしながらでも電話に出ることができる。2本の回線を同時に使うバルク転送だととても早いらしいのだが、それはやめておこうということになった。

会社でひとつのメールアドレスなので、自分の会社に向けて「テスト」と送信した。受信に成功して「テスト」と表示されてもあまり感動はしなかった。もっと気の利いたことを書けばよかったのに。「Hello, World!」とか。ホームページが完成するまでは誰もここにメールを送ってくるはずがない。でも念のために一日一回メールチェックするのは社長の役目になった。


当面は習熟のため自由に利用してよいとされた。だけど電話が混み合わないお昼休みの時間が推奨だ。

Yahoo! JAPAN を開くと電話帳みたいにいろいろなホームページが紹介されていたので順番に見てみたりする。社長は海外の英語のホームページばかり見て、どこか真似できそうなところはないかと真子ちゃんと相談していた。


Netscape Navigator 2.0 を初めて使ってみたときのこと。大きな N マークと宇宙空間のスプラッシュスクリーンが表示されて、白いウインドウが開いた。しばらくすると少しずつ Netscape 社のホームページが表示される。右上の N マークのところでキラキラと流れ星がアニメーションした。それを見ていた社長が静かにほほえんだ。


リムネットのホームページスペースは5MBだった。これは多いほうなのだって。画像は小さくしなければならない。相談して Netscape Navigator 2.0 に最適化しようということになった。


社長はまだお試しだから、自由にやってみようと言った。商品はカラーボールペンセットと定番のA4ノート3種だけ。海外のかっこいいホームページを真似て、クラリスワークスでレイアウト案を作ってみた。背景は bgcolor="#00FF00" にしようという社長の提案を却下。背景は白のほうがロゴが映えますよ。


frame タグで画面を区切り、下のほうに自由に記述できるメールフォームを固定した。リムネットではCGIというプログラムを自由に使うことはできず、用意されたメールフォームCGIを見本の通りに設置するだけだ。textarea には「商品番号・数量・備考」とあらかじめ書かれている。このように注文してくださいという意味の半自由記述フォームだ。


画面の上部分ではカテゴリーや商品を切り替えて見せる。これにより、商品を見ながら注文分を自然言語で書いてもらう。つまり FAX の注文とそう変わらない。


買い物カゴという仕組みを海外のホームページで見た。使い方はなんとなく理解できたものの、どうやってこんな機能を作っているのか誰にもわからなかったのだ。だから決済方法は前払いと代引きを選択してもらう方式になった。人間が受注処理をする手間を無視するならば、これは間違いではない。


それからトップページには目立たない色のアクセスカウンターが付けられていた。使えるのなら使おう、どうせお試しだと社長が言ったので設置した。そんな感じで最初のホームページが完成した。


GOと言われたので、Performa 588 から犬のアイコンのFetchを使って、ホームページのファイルをまとめてFTPアップロードした。


公開後、メールはほぼない。なじみのお客様がおもしろがってメール注文をしてくることがたまにあるから、社長が毎日確認してるんだ。


工場の今川君はパソコンに興味を持って自宅でも買ったそうだ。牛の会社のパソコンだと言っていた。鈴木君を相手にテレホーダイというサービスのことを喫煙所で話し合っていたところに社長が通りかかって、うちの会社でも契約しているよと混ざり込んだ。夜中に国内外のホームページと Netnews というところを巡回しているらしい。fj.* にはいろんな変わり者がいるねといっていた。ここでは変わり者は珍しくないと思います。


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