第201話 中堅戦①
意気揚々と凱旋するヤンは温かい拍手に出迎えられる、と言っても手を叩くのは純粋無垢の夢有と国の上空を戦場にされた帝王ドラゴと同性愛者のライトだけ。他の守護者らは、勝って当たり前の雰囲気を醸し出している。
対して反対側が落ち込むかと思いきや、そんなムードではない。確かに三武人は労いの言葉を掛けているが、他の者らは悲観も躍起もしておらず、落ち着いている。垣間見える笑みが恐ろしく思えるほど。
勝敗が何事にも左右しない決闘。
優先事項は場の形成。
彼等はそれが順調に進んでいるからこそ何も言わないのだ。単なる無口や無関心無感情ではない。
だが激しさ、苛烈さは、より際立たせなければというのがダダ漏れするかのように、次なる対戦者は先ほどよりも強い者が選抜される。中堅戦。
ヒョウジンの脇に居る、同形容姿の人物。
決闘開示前から一言も喋らない。
性別さえも判別し得なかったが、勇ましさや堂々たる風貌から男の方であると推測できる。
三武人から五連星へと対戦相手が変わること、それすなわち、ジュン達もそれ相応の者を選抜する必要性。
適任者は誰かと思案していたところで自ら申し出てきたのは、同性愛者(男性)のライトだった。
「我が君、ここは私に命じてください」
ジュンは鼻で笑った、いや溜め息ついた。
ニシミヤライトは【聖なる九将】序列第六位であるのと同時に、ジュンによって魂魄を注入し魔改造された半守護者となっている。ヤンと同じ存在へと昇華しているということ。
だが、この事実をライト本人は知らないし、ジュンも告げる気はない。
男性を嫌っているからだ。自信は女性の同性愛者にも拘らずだが、男性嫌い且つストーカー被害も度重なってか未だに変態を受け入れてない。半守護者にしたのも、その時の状況が切迫していたからであって、全く持って不本意なのである。半守護者でありながら配下ではない、面倒なストーカー男なだけの関係性。『我が君』と言われても、ライトのご主人様では決してない。主従関係は一生、出来得ない。
がしかし、ライト本人はジュンの気持ちを知らぬ存ぜぬ。己の欲を満たそうと、ジュンのために働く意思のみ。
だがこれは、ジュンにとっては渡りに船でもあった。
【五連星】という脅威を知る必要があった。
つまりは、言い換えれば、丁度良い当て馬。ライトの好きに任せた理由でもある。
「有難き幸せ、必ずや勝利を御身に捧げます」
「はいはい」
報われない愛の探求者が勝つか、不死身の災害獣人が勝つか、二つに一つ、中堅戦開始である。
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