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性転換転生『♀→♂』したけど、女の子が好きなので女子ハーレム作りたい!!──最強の変態癖主人公と守護者たちの世界征服物語──  作者: 飯屋クウ
第十一章 帝国大激闘

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第199話 先鋒戦

 武士道精神からか、ヤツハは堂々と一礼する。

 前方からは慌てた素振りで同じように礼を返されるも、微動だにはしない。眼前を、ただただ見据えるだけ。

 

 女騎士とスク水少女。


 身長差は歴然と決闘には見えにくい。お子様相手に大人が遊びに付き合っている、そんな風景にも見える。


 だがそれは一般の能力持たない者同士のやり取り。


 この決闘は違う。


 ヤツハもある程度は理解しており、手を抜く気配は全くと無い。精神を集中するかの如く、対戦者を凝視している。


 その対戦者(ムウ)はというと、自身の体を捻らせたり、手を伸ばしたり、屈伸運動をしている真っ最中。



「何を………している?」

「じゅんびうんどう!」



 水泳授業開始前に皆がするアレ。柔軟体操は何事にも必要不可欠とは言うが、この場に水辺なんてあるはずもない。


 結果、ヤツハにとっては行動そのものがチンプンカンプン。隙を見せているとしか思わないのは、ごく普通に当たり前な感情。



(どういう意図………まぁいい。能力発動前に一撃入れて終わりだ。初速は、こちらの方が早い。子供だからといって手は抜かん!)



 お子様とて容赦不要。

 そんな面構えな上、覇気に満ち、次第に斧握るその手に力が入っていく。



「はあぁ……」



 静かに、ゆっくりと、息を吐きそして、構える。


 強く地蹴る跳躍音が、掛け声と刃の風切音をかき消す。


 大振りながらも的確に胴体を狙った一撃。



「んな……!?」



 だったにも拘らず、ドンッ!! と何かに阻まれ、肉を切れずに弾き返される。


 着地には無事成功し、反撃(カウンター)もない。


 但し、見上げる先、そこに小さな子供なんて居やしない。



「どんなもんだい!!」



 巨大化した子供。Vサインする手が人間の等身大を優に超える大きさ。



「それが、能力か?」

「そうだよ、“巨大化(クラッシャー)”の夢有です!よろしく!!」



 高低差があるのに声が真下まで綺麗に届くのはどういう了見か、といった疑問にヤツハが触れることはない。

 加えて、後方で観覧しているであろう者らから『まぁまぁの大きさだこと、あなたのとはどっちが───』などと野次馬みたくな呟き声を聴いたとしても、気にはしない。


 ヤツハはシルフの部下として、気品さよりも武人としての姿勢や誉れを意識しては貫いている。本人もそれを自覚しているほどに。


 外野は気にしない。


 気にすることがあるとすれば内側。


 眼前の敵。


 スク水少女に対して。


 やや怒り混じりな感情が芽生えるのは────



「簡単に能力をバラすとはな、ナメられたものだ」



 浅慮な言動一択。


 言い換えれば、ヤツハであれば露呈は避ける。


 勝負なのだから。


 勝ち負けが何にも影響しないと言われてもだ。


 シルフの部下として、決して負けるわけにはいかない。



(弾かれたのは骨というよりは肉。巨大化と硬質化は必ずしも比例しないようだ。ならば、質量差があるといっても斬れぬことはないはずだ………はぁ、峰打ちを選択していなければ初撃で終わらせたろうに、私もまだまだ甘いな)



 剛剣(ヤツハ)は、また静かに息を吐き、狙いを澄ます。





◇◆◇◆◇◆





 夢有がヤツハの一撃を弾き返せたのは単なる運だ。相手の攻撃動作をいち早く察知して能力発動を選択した、という攻防もありはしない。丁度タイミングが合致しただけの豪運なのである。相手が峰打ちを選択していたことも幸いだったと言えよう。


 日々古城でプロレスごっこはしていても、身体や筋力を鍛えるなど、お子ちゃまがするはずもなく、全てが噛み合って無ければ一撃のもとに敗北していたに違いない。


 この真実を知れば危機感を覚えるのは明白。次からは、敵の動きは先読みするくらいの気概で継戦に臨むだろう。


 だが夢有は何も理解していない。

 危機感すら持ち合わせない。


 それが夢有、スク水少女。

 純粋無垢に元気溌剌。


 決闘も普通に楽しみ、いつも通りに殴打を繰り返す。



「フン、フンッ、フンッ!」



 モグラ叩きの要領で、真上から真下へと拳を振り抜く。

 時には蹴りも織り交ぜて。



「とりゃぁッ!」



 ドスンドスンッ、と。


 振動が足場の障壁に伝わる。


 掴みに行かなかったのは本能からかもしれない。


 故に斬り刻まれることもなく、ただ純粋に拳と斧とがぶつかり合う。


 (ヤツハ)も愚直に、側面や背を狙うなどしないために、一定の同じような攻めと攻めとが続いてく。



「ふんっ………ぬ!」

「そぉりゃっ!!」



 泥試合とまではいかないが、観戦側としては面白みに欠けるものがある。そう思うのは、【聖なる九将(ホーリーナイン)】序列第二位のユキくらいだが、他は興味なしか、別のことを考えている始末。真に応援しているのは当事者の身内、三武人とジュンら組織【S】の者達だ。


 しかし、そうは言ってもである。


 制限時間が無いにしても、ずっとは続けられないし、続けれない。


 夢有の体力が尽きるが早いか、ヤツハの矜持が折れ能力発動により戦局が動くか先か、二つに一つ。



「ふぅ、ふぅっ」

「体力配分を間違えたな、所詮は子供………そういうことだ。日々修行している我らとは程度が始めから違っていたのだ」



 そう言い放ったヤツハの大斧には濃い緑色のオーラが纏わりついていた。



「はあああァァ!!」



 咄嗟に反応した夢有。


 しかし────



「いッ!たぁ!!」



 ドシンッ!! っと、今日一番の振動は巨大子供が倒れ池に伏したから。弾いたはずの拳も今日始めて損傷。赤い血が吹き出す。


 それでも剛剣(ヤツハ)は手を緩めず、倒れた夢有の正面へと跳躍、更には大きく振りかぶる。



「少し痛いが覚悟しろ、“天空より飛来し(アルティメット)神兵の閃撃(・ストライク)”!!」



 中二病みたいな技名も、勢い良く垂直降下。脅威が堕ち行く。



 が、次の瞬間────



 ガシィッ!! っと斧による剣撃でも拳による打撃でもない奇妙な音が生じる。


 同時にまたもや、ヤツハの『んなッ……!?』が響いた。



「はなっッ!!」

「離さないもん!!」



 相手の武器に能力効果が付与していると、子供ながらに見抜いた夢有は怪我をしていない方の手で、ヤツハの体ごと掴んだのだった。


 当然、暴れられた。


 体の大きさが天と地ほどもあれど、ヤツハの筋力は素晴らしい。胆力も、冷静さもある。


 だが、抜け出せない。


 逆手だったのが功を奏したのである。


 血がべったりと付着した方だったなら、スルリと抜け出ていたに違いなかった。



「ウオオォォォ!!」

「いっくよー!!」



 こうなった以上は独壇場。

 無邪気なスク水少女の反撃開始。

 ぐるぐるパンチばりの回転を絶えず繰り返す。DS園に設置してある〔コーヒーカップ〕よりタチが悪い。目眩どころではない。三半規管鍛えてたとしてもだ。常人なら気を失うだろう。


 常人と判断しなかったからか、夢有も躊躇しなかった、追撃した。


 目を回させた次の一手は、そのまま遠くへと投げ飛ばすこと────



 正真正銘の、

 デッドボール不可避の、

 どストライクキャノンが、

 見事に放たれたのだった。


 ナイスピッチングと褒め称えんほどの投げっぷり。


 障害物もなく、彼方まで飛ばされるはずだったヤツハの身体を受け止めたのは、もう一人の三武人。


 だがこれで勝敗も決した。


 1対1の決闘に、2人目の介入はありはしない。それこそルール違反。



「んん~〜ブイ!!」



 勝利を手にした夢有は声高らかに、二度目のVサインを仲間に向けたのだった。





作品を読んでいただきありがとうございます。

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