第194話 とある場所②
「御慈悲を゙ぉォォ、※※※さまぁ゙ァァ………」
断末魔が響き、肉片が四散し、骸が夥しいほどに連ね山なり。
「糧になるのだから、安心して逝け」
無惨なる詞告げる者は、慈悲乞う者の頭部を掴んではエネルギーごと蟲へと変貌させ、体内へと取り込んでいく。
ここは妖国グリムアステル、その何処か。辺り一面は紺碧一色。
「ふむ……まだ、足りないな」
そう呟く男の傍に一人の神父がやってくる。神父服の男は命乞いする者達に同じような言葉しか掛けない。
「順にお待ちください、皆様はこれから栄誉ある死を迎えるのです!」
しかも笑顔で嬉々とし、万歳ポーズ。
命刈られる側からしてみれば助かる見込みなしは明白。阿鼻叫喚な悲鳴は絶えず続く。
「それで、外の様子はどうだ?」
「依然変わりなく、何かあれば私の楔が反応するでしょう」
「そう、か………」
妖国に住まう民を自らの手で蟲へと変える。
誰しもが受け入れ難い光景だが、これは昔から執り行われていた行事みたいなものだ。繁栄を維持するために、悪魔に生け贄を捧げる、それと同じ。
しかしながら、蟲に変えるのは非常に神経を擦り減す。
集中力が途切れることもしばしば。
それ故に、他の者が余所を監視せねばならない。
消耗した分の補填は時間がかかる。全快には遠い。追撃があったのも影響している。
「あの変態も去ったんだな?」
「はい、地下に逃れてからは見失ったかのように空に飛んでいくのを確認しました。あれから警戒は怠っておりませんので、大丈夫かと」
「ヤツも全快していなかったろうに追撃されるとはな。おかげでこっちもまた疲弊した………回復途中だったというのに散々だ」
予定外の戦闘が無ければ、今頃回復し終わっていた。
「だがお前の言う通り、これだけ時間が経ったなら────」
(妖国の闇が蔓延する地下施設には気付かなかったということ。日頃のカモフラージュが効いてた証拠だな)
蟲の男は更に奥の重い扉を開ける。
研究施設の1つ、その最古。
今は使われてないも、これまでの髄が詰まっている場所。
「これじゃない、これでもない、違う………あー、コレだな」
培養器に眠る2体を見つめる。
「反撃に使いますか?」
問うた神父に対して蟲の男は首を振った。
「少し違うな、ただ乱すだけだ。これから先の、真なる者の欲望のために────」
影には蟲が巨躯に映る。
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