冒険者ルーク 204
激昂するアシュレグ。
それもそのはず、下級妖精に良いように翻弄され続けているのだから。
こいつには最大限の屈辱を与えねば、気がすまない。
(バカな! バカな! バカな! ケット・シーがドラゴンを上回る実力を有しているなどということがあってたまるか!!)
ううむ、ドラゴンには犬のような体毛が生えていないから、散髪は無理か。
いや、鱗を毛の代わりに一枚ずつ剥がすのはどうだろう。
だが、あまり身体に傷をつけては冒険者ギルドの買取り額に影響が出るか?
(いや、奴がどれだけ強かろうが身体はケット・シーの物。ならば、不測の攻撃を叩き込めば良いこと!)
アシュレグがかぶりを振る。
刹那——ムチと化したドラゴン・テイルの一撃が俺を狙い撃つ!
しまった!
俺はとっさにリジルで、竜尾の攻撃を耐える。
が、俺の小柄な身体は五十メートルほども吹き飛んでしまった。
「フハハ、猫如きが調子に乗りおるからよ」
アシュレグはドヤ顔を見せつける。
ウザイ。
「なーんちゃって!」
俺はまた、瞬時にアシュレグの眼前に躍り出る。
駄竜の顔が驚愕と怒りに歪む。
いや、こいつの反撃くらいお見通しよ。
ただ、奴の戦闘力がどのくらいか測ってみただけだ。
ザコだな。
機動力はZ公国の緑の量産機にも及ばない。
「アシュレグ——貴様との戦闘にも飽きてきたし、そろそろ本気出しても良いか?」
俺は眼前のトカゲを煽るだけ、煽ってやった。
アシュレグの眼光が、視線だけで人を殺せそうだ。
俺は涼しい顔で、縮地を発動した。




