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冒険者ルーク 203

 ブレスが効かぬと悟った瞬間、アシュレグの右腕が振り下ろされ、俺を狙う。


 キィン!


 金属が擦れるような音がした。

 俺が振り抜いたリジルが、奴の右腕の爪の一本を斬り上げたのだ。

 竜爪は乾いた音を立てて、地面へと吸い込まれる。

 ——アシュレグの顔が驚愕に彩られた。

 奴の心の中では、俺など羽虫のような存在と認識されていたのだろう。

 竜である自身が本気を出せば、いつでも刈り取れる生命であると、そう思っていたに違いない。

 残念だったな。

 貴様の眼前に立っているのは、猫の姿をした漆黒の魔獣・ジャガーノートなのだよ。


「何だ。爪を切って欲しかったのか? 手伝ってやろう」


 呆然としたアシュレグの右腕の動きが止まっている。

 俺は縮地からの、ラグランジュ・ポイント発動で、奴の残りの爪も切り落としてやった。

 フム、案外俺にはトリマーの素質があるのかも知れんな。

 ん!?

 アリだな。

 ドラゴンやグリフォンの魔獣をトリミングするトリマー。

 需要は高いと思う。

 異世界のビジネスチャンスは多様性に満ちているな。

 その前に、この駄竜だけは殺処分が確定している。

 ドラゴンの死骸は高価な錬金素材になるらしいし、その金でこの世界に孤児院を建てるのも良いだろう。




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