第25話「ハデスボール」
俺はハデスの頚椎、つまり頭を支えている骨の部分をがっちり掴んでいるからハデスは逃げだせない。
「仕方ないだろ! 固くて、柄があって、それでいて殺傷力がそれなりにある武器ってハデスの頭蓋骨しかないだろ? 他にあるか?」
「なるほどな、私の頭硬いからな····さぞかし使い勝手がいい武器に····ってアホウカ! 割れるわ!」
「大丈夫、心配すんな牛乳飲めばいいだろな 、セリカちゃん? そうだよな」
「そういう問題───」
セリカから返事はない。
どうやら昼寝しているようだ。
「·····なにあの生物可愛すぎない····」
武器となっているハデスもセリカの方を向き頷く。
「全くだ····ってそんな話してない! 」
「うるさいな。 髪はもたねぇから安心しろ。」
そんなたわいもない会話をしていると、問答無用でセラが切りかかってくる。
俺はそれをハデスで受け止める。
「あなたそんな短いので私の剣術を受け止めれると思っているの? 」
確かにセラの言ってることは正しい、ハデスはどちらかと言うとハンマーだ。
必勝法としては、セラのスキを突き頭に叩き込めば勝てるかもしれないが仮にも相手はこの王国の最強の騎士だ、そんな簡単にスキは作れない。
オマケにこいつの中身は重さ的に、脳みそが入っていない····空洞だ。
正直、すぐに壊れそうだ······
と、こう言っているが実際俺は、ハデスの頭蓋骨を壊すきもないし、セラを本気で殺す気もない訳だが····
そこまで俺もサイコパスじゃない。
どうすっかな····ヘマしたら自分が殺されるわけですし。
ま、だいたい作戦は立ったけど。
俺は目を閉じ、ゆっくりとハデスに語りかける。
「なぁ、ハデス」
「なんだ····」
「正直言うと、俺はあいつを殺したくないし、お前を壊したくない。 せっかくさっきの戦い、みんな無事に生き残ったんだ。 何で俺が殺さないといけない····」
「カケル····そのような事言っても」
「そうだなそんな事言ってもこの状況俺が圧倒的にフリだな」
「そうだ。 ───」
「だがな、ハデス。 俺にはとっておきの作戦がある。 誰も傷つかない作戦が── 」
「本当にそんなのあるのか」
「あぁ、簡単だ。 あいつを1発きぜつさせ、いま寝ているあの天使ちゃんを起こし記憶操作してもらって今まであったこと忘れさせればいい。 ハデス、人間を気絶させるにはどうすればいい」
「薬を嗅がせるか、首筋に一撃食らわすか──あとは、頭に強い一撃·····」
この後、ハデスは何かを悟ったのか黙り込んだ。
「ハデス·······ハデスボールって知ってるか?」
「いや知らないです」
1秒も間もなく、ハデスは即答する。
「ふ、ハデス····後で飲もう。 (俺まだ16だけど)」
「いやいいっす! 大丈夫っす! 」
俺はそんなハデスの言葉を無視し、
「派手にいけぇぇぇ」
思いきりハデスの頭に向かって投げた。
ハデスの頭蓋骨は、クリーンヒットした。




