第19話「ヘラのヘラはメンヘラのヘラ」
この場にいる誰の声でもない声とともに王の椅子の前の時空が歪み、紫色のワンピースを着た若い女性が突如現れた。
なにあの、ラスボス感漂う演出。
ゼウスは文字通り顔面蒼白になり、その女性を見ている。
「へ···ヘラちゃん···」
セラとセリカが不思議そうな顔で
「ヘラって誰よ···」
「ヘラとはゼウスの奥さんでかなりのメンヘラだ····」
当たり前のように、ハデスの頭蓋骨が俺の方に乗ってきた。
「あ、生きてたのね。 死んだかと思ったわ」
「お前のおかげで死にかけたわ···」
「ねぇ、あんたたち。私のゼウスに何吹き込んだの? 」
「うわぁめんどくせぇ」という顔で俺たち4人が答える。
ヘラがゼウスの顔に近ずき、間近で
「大体、ゼウスもゼウスよね。急に人間滅ぼしに行くとかいって私を置いていったもんね 」
ゼウスが言い訳を考えているのか戸惑いながら答える。
「あ、そっか。 やっぱりゼウス私のこと飽きちゃってたのね····分かってたわよ。そんなこと」
「いやだからその····」
「さっき助けてって言って呼び出したのも、あの少女に告白するとこ見せたかっただけだったんだね····」
こいつ、いつの間に呼んでんだよ····
ゼウスが答えるまもなくヘラが言い続ける。
「あ、そっかそうやってすぐ黙っちゃうんだ····ふーん答えないんだ··早く答えてよ··答えてよ··なんで答えないの····ねぇーてば! 」
俺達はただ何も言えず、ただ呆然とヘラとゼウスを見ているがみなが同じことを考えているだろう·····
───メンヘラ超えぇぇ
ん? 待てよ、さっきハデスが仮拷問の時───
あの時、ハデスが言ったことを思い出す。
「ヘラはヘラだ、名前どうりの性格なやつだ。 」
あぁ、なるほど···
つまりあれか、ヘラのヘラはメンヘラのヘラってことか····
「ねぇ、メンヘラって回答時間1秒もくれないの? 鬼畜設定過ぎない? 」
セラが聞いてくるが、俺にそんなこと聞かれても分かるはずない。
「じゃあ、私はあの少女を殺せばいいのね♪ 」
「どうしてそうなるのだ。ヘラちゃん! 」
物騒なことを言い死んだ目でこちらに向かってくるヘラをゼウスが肩を掴み止める。
今だけはこいつを応援しなければならない。
「は? ゼウス、それホントに言ってんの? 」
「······」
あ、これ無理なやつだ。確信した。
「私の持ってるこの本であなたの考えてることわかるのよ。 調べましょうか? 」
「········」
ゼウス答えず沈黙している。
ヘラが来てから明らかに口数が減るゼウス····
もっと頑張れよ! 諦めんなよ!
「あ···あ、そうだ! ヘラちゃん···! あいつら殺すなら···とりあえず本であいて情報調べらたら──」
せめてもの時間稼ぎなのかゼウスがこちらにウインクしながら合図し、必死にヘラの進撃を止めている。
「あいつから呼んだくせに何よあれ····」
セラが呆れて一言
「おい、ハデスさっきから言ってるあの本ってなんだ」
「ヘラは自分の持ってるあの本を対象者に向けると、そいつの能力とか秘密その他もろもろの情報が全てあの本に映し出される。さらに言えば今考えてる事とかも分かるから作戦も立てれん」
「あ、だからあいつさっき黙ったんだ···何考えてたんだあいつ····」
「もしかして? さっきパパが言ってた、名前の通りの性格ってメンヘラのヘラってことですか? 」
セリカが指を立て、分かったような顔で無邪気なのかわざとなのか分からない顔で言う。
「··········」
セリカの爆弾発言で、今までゼウスに文句言っていたヘラの口が止まり、気持ち悪い静寂だけがこの空間に流れる。
····どうすんだよこれ
そんな空気も読まず、わざとらしく続けるセラ
「けどあいつも神何でしょ、本なかったらただのババア何でしょ? じゃああの本取り上げたら余裕勝ちじゃない私って頭いい! 」
「········」
あぁ最悪だ····
ヘラの顔がさっきよりも暗くなり、怒りのあまりか震えている。
···どうすんだよこれ




