第14話「子供にいじられる親」
「大丈夫よどうせ、また生き返るわよ。ね、セリカ」
「首が取れるところは見たことありますけど、あんな綺麗に飛ぶ姿は流石に始めてみましたね····ていうかパパって頭飛んでも血でないんですね」
「何でそんなに冷静なの!? お父様の首もげてるんだよ! ちょっとってか、だいぶホラー映像だよ!」
····見た目10歳児だが中身俺より長生きしてるって言ってたけど。 今の子って親の首飛んでも平気なの? 泣き叫ぶよ?
「そんな細かいことは気にしてはダメだぞセリカ! あ、ごめん頭戻して」
ごく普通のようにハデスの頭蓋骨が起き上がり、話し出した。
「おめぇは当たり前のように話に入ってくるなぁ!」
「もう何されても死なない気がしてきたは··· あんたさっき言ってた役立たず上司よりずっと強いんじゃない? 」
いがいにも、セラは動揺せず普通にハデスと会話する。
まさか転がってる頭蓋骨が喋るという怪奇現象に慣れつつあるのかというのか····俺はまだそんな耐性持ってないぞ。
「よいしょっと、重。いえ、そんなことは無いですよ。パパだってこうやって頭取られたら何も出来ないただのジジイになっちゃう訳ですし」
「ちょっ、セリ──」
セリカに頭を持たれながら、ひどく焦っている。おそらく胴体と繋がっていなければ動かすことも出来ないのであろう。その証拠にいつの間にか鎖が外れているのにも関わらず、胴体が全く動いていない。
····ていうか、なんなの一定の条件クリアしないとただのジジイって、ジジイ流行ってんの?
「ふぅんちょぅとそれ貸してくれるぅ? セリカちゃぁん? 」
セラは自分の手を合わせ、オネダリポーズをセリカに取った。
ハデス! 超逃げて! そこから全力で逃げるんだよぉしろ! あの女はまじでやばい! 『ちゃん』の言い方がやばいもん『ちゃぁん』だもん。悪い事考えてる顔だもんにやけてるもん!
「ダメです! これはダメなのです! あなたはこれがどんなものなのか分かっているのですか!? 」
「分かってるわよ! そんなこと」
「そうですか、ではどうぞ」
セリカが手に持っていたハデスの頭蓋骨をセラに差し出す。
··············
セリカの行動に俺も、ハデスも、セラでさえも言葉を失った。
「いやいやいやいや、どうしたのだ!? セリカ! なんでパパを丸腰で戦場に放り出す真似をするのだ! 」
「パパ言ってたじゃない····アンデッドたるもの信じることが大切だって」
「まてまてまて、セリカこいつよく見ろ! こいつ、邪神軍じゃないよ! 種族違うよ! サイコパスだよ! 」
「それでも私は、セラのこと信じるから! 」
「セリカちゃんそれ、詐欺師より信じちゃダメなやつだよ····って言うか何でいきなりこいつの事信じる気になったんだ? 」
そういうと、セリカはクスクスと笑いながら
「いやだなぁ、カケルさんそんなの······おもしろそうだからにきまってるじゃないですか。他に理由で───」
「セリカァァァまて、早まるな! 早まるんじゃない! 落ち着くんだ! 一旦落ち着き深呼吸をし、今すぐ1000リットルの酸素を体内にぶち込み脳を回転させよく考えるんだぁ!! 」
「お前が落ち着け 」
そんなハデスの嘆きも虚しく、ハデスの頭蓋骨はセラの手に渡った。
「嫌だァァァ、まだ生きたい! 死ぬの怖い! グファグファグファグ──」
····あいつ、テンパったらキャラ変わるのか?
手渡された直後、まるでサッカーのリフティング練習する初心者のようにハデスの長く数少ない髪を掴まれながら何回も頭蓋骨を蹴り上げられている。
「どう? セリカちゃん? 」
「おもしろーい! 」
「·······だな! 」
「だな! じゃなぞカケルよ、グファ早く、グ助けろ! グファ」
「うーん、どうする?セリカちゃん?」
「もうちょっと見たい! 」
「セリカァァァ、何? グファパパなんか悪いことした? グファ死ぬ死ぬからパパ──グファ」
「うーん! 死ぬのは嫌だからそろそろ辞めて」
セリカが少し残念そうに答える。
「なぁんで残念そうなのグファ、セリカ! 」
「だってよ、まだ使えそうなんだからそろそろ辞めてやれよ」
こちらも同じく残念そうに
「····まぁ、そろそろ言っか····ほい」
最後にセラが高く蹴り上げ俺の手元に来た
「おぉ、ナイスキャッチ! 」
「お前上手いな! 」
セラと目を見合わせ互いに親指を上げグッジョブをした。
「ナイスキャッチ! グッジョブ! じゃない! なんで私がこんなボロボロにならなければならないのだ! お前達一生恨んでや──」
「え、恨むって? 今、恨むって言ったの? もう1度あの方に遊んでもらいたいの? 」
「すいません! マジで何でもしますから! 許してください」
こいつ、マジで嫌だったんだろうな····
「そういや、ハデスなんでお前あれだけ蹴られたのにほぼ無傷なんだ? 」
「はぁ?」
そういうと、ハデスの表情が、一変し怒り出した。
「いや、カケルさんそれは余りに失礼なんじゃないですか? それともあなたの目、飾りですか? 」
「お、おのれ人間! 自分が多いからってからかっているな! ふざけるなよ! 」
ハデスが間近で怒りマークをつけ怒っている。
······は?
全く意味がわからない。セリカも少し腹を立てている様子だが、無傷な理由を聞いただけなんだが····
「え、まさか本当に分からないんですか? 」
俺はこくんと頷いた。
いや、はっきり言って全然分からん。
「はぁ、呆れた。あんたそんなことも観察出来ないから彼女出来ないのよ! 」
え、なんで俺責められてんの?
いや、てかなんであいつ分かんの?
仮に骨かけてるとかヒビいってるとかだったらさ、それやったの完全にあいつだよね? この件、俺関係ないよね? なんでそんなに自信満々にあっち側ついてんの? 埋められたいの?
「じゃあ? 分かんのかよ? ワトソンくん?」
「誰なのよそいつ? てゆうか普通あたり前でしょ! 私を誰だと思ってんの」
多分ここにいるみんなは満場一致でサイコパスって思ってるよ!
「はぁ、これだから···セリカ言ってやりなさい!」
「おい待て! 絶対お前わかってないよな、今完全に丸投げしたよな! 」
振られたセリカが腕を組み
「仕方ないですねぇ····頭をよく見て下さい。 欠けてるでしょ····骸骨にとって骨ってコンプレックスみたいなもの····」
「え、違うけど────」
「と思うじゃん。 知ってました知ってました。 分かりますよわたし」
こいつら最初っからハデスの怒ってる理由わかってねぇじゃねぇか!
じゃあ、こいつらあんな自信満々だったの? しばかれたいの?




