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目に光をともす 12

夕暮れは迫っていたが、暗くなるにはまだ時間があった。


見晴らしの丘から発射場を望み、頭の中で今夜のシミュレーションをする。

ハヤトから送られてきた侵入経路を目の前の光景に重ねた。


「ハル、ご飯食べながら打ち合わせしようよ」


そばにいたヒカリに声をかけられて、僕は我に返った。


肩をすくめて、くすりとヒカリが笑う。

「ハル、今日は調子がいいみたい。イメージはつかめた?」


宇宙センターに入ってからこれまで、僕がそれほどヒカリと言葉を交わしていないことを指しているらしい。現地では仕事の際の具体的なイメージをつかむため、その光景を目に焼き付ける。ただ、僕の頭はそれほど上等ではないから、何かに神経を集中すると他の事ら疎かになってしまう。

ヒカリとの会話も上の空になってしまうというわけだ。

ヒカリはそんな僕の性質を熟知していた。


「ほんと、ハルって頭がフル回転してるときほど、ボーとしてるように見えるよね。」


余計な御世話だ。

でも、ヒカリが、からかうようにそう言うのを、僕は嫌だと思ったことはなかった。むしろ、いつものこのお約束なやりとりが、僕にはとても心地よかった。


そうして、僕は今夜の任務を思って少し緊張していたことに気がついた。ヒカリとのやりとりで、そんな自分に気づかされるのはいつものことだった。


適度な緊張感は注意力を高めるが、張り詰め過ぎた糸は切れやすい。

イメージは作り込むが、細部にわたる確認は僕は苦手だ。ヒカリはそんな僕を補うように、細かいところにも気がつくから、最終チェックはやはり2人でする。


そしてもちろん、ハヤトたちとも最終打ち合わせが必要だ。


「何食べたい?」


ヒカリにそう問えば、ヒカリは待ってましたとばかりに、言った。


「車に乗って。良いところ見つけておいた。」


ポンっと僕の腕を叩くとヒカリは僕のズボンのポケットから車のキーを引き抜く。そういえば、さっきは僕の運転でビジターセンターからこの見晴らしの丘まで来たんだった。


車に乗れば、ヒカリは手際よくカーナビにどこかの住所を打ち込んだ。


山の端に太陽が落ち始めた。宇宙センターは島の東側にあるため、海に沈む夕日を見ることはできない。しかし、明日の明け方、任務後には海から昇る朝日を拝めるはずだ。仕事明けには、この見晴らしの丘で休憩してから帰るのもいいかもしれない。

辺りが赤く染まり始めた頃、僕らは一度、南種子島の中心部へと戻った。

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