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第八話 勇者が2度目の死亡フラグを立てたようです

アイリスが主人公のはずなんですが・・・

タツヤの方が出番が多くなっていきそうです。


side:タツヤ・カワギシ


~~~ 前話のあらすじ ~~~



ある日、草原の中で、美少女が仲間になりました。



~~~~~~~~~~~~~~



どうも。冒険にでたばかりの勇者レベル1なタツヤです。

アイリスと友好条約を結んだあとロイとティアが遅れてやってきた。

そんなロイに、「俺と一緒に走り出したのに、なんで助けに入らなかったの?」 と聞くと、走っている途中に、慌てて俺たちを追いかけようとしたティアの転んでいる所が眼に入り、Uターンしたそうな。

んで、それからロイのターンが始まり、ティアに「怪我はないか?」などの言葉を数十分間浴びせ続けていたらしい。(ティア談)

う~ん。ティア至上主義というか過保護というか・・・

まぁ、ロイの意外な一面が垣間見えたから良しとしよう。


さて、回想と言う名の現実逃避を止めることにしよう。

どうやら俺達は飢餓を迎える運命にあるらしい。

なぜなら、あれから食事をしようとしたのだが食料を誰も持ってきていないみたいで・・・

あるのは俺のズボンのポケットに入っていたカロ○ーメ○ト(2本)だけだ。


「あぁ~、もう! どうすんのよ~!」


「アイリスさん、だから私達はこうして会議を開いているんです。落ち着いて考えましょう」


アイリスが銀色の髪をわしゃわしゃしながら唸るように叫んでいる。初めて会ったときのおどおどとした、可愛らしいアイリスは何処へ行ったんだ・・・? まぁ、俺としてはこっちのアイリスの方が良いんだけどね。

ちなみに、アイリスは既にみんなと古くからの友人かのように打ち解けている。


今俺達がしているのは生きるための作戦会議だ。

俺の左側にアイリス、右側にティア、向かい側にロイが円を作るように座っている。

次にある都市までは徒歩だと3日かかり、食料もほとんど残っていない状況をどうしようかということで、さっきからあぁだこうだという言葉が飛び交っているが、なかなか解決案が見つからないのである。

あれ? アイカンに戻ればいいんじゃね・・・?

・・・ダメだ。俺のプライドが許さない。

意気揚々と旅出た勇者が1日で帰ってくるとか恥以外の何物でもないしな。

俺はまだ一つも案を出していないから、意見を言うことにする。


「『転移魔法』とか無いの? それ使えば一瞬で着くと思うんだが・・・?」


「! それよっ! なんで気づかなかったのかしら! じゃぁ、早速y」


「それは無理ですね。『転移魔法』を使えるのはローレンシアの大魔導師様だけで、その方でさえも詠唱に5年はかかるとのことです」


アイリスの言葉を遮るように、ティアが『転移魔法』は使えないと説明する。

う~ん・・・ 5年もかかるんじゃぁダメだよなぁ・・・

そういえばアイリスが「そういえばそうだったわね・・・」と呟いていたが、如何いう意味だろうか? まぁ気にしないでおこう。


「・・・とりあえず、歩みを進めるべきだ」


「そう、ですね・・・ やっぱり少しでも距離を詰めていくのが最善ですかね・・・」


今まで一言も喋っていなかったロイが最もな意見を口にした。

ティアも同意しているみたいだ。


「じゃぁ、日が暮れる前に少しでも進んでおきましょう」


アイリスがそう言うと立ち上がったので、俺達も同じように立ち上がる。

そして、果てもないイメージを歩いて行った・・・







「暗くなってきましたね・・・」


「そうだな。川も近くにあるみたいだし、今日は此処で野宿すっか!」


あれから歩き続けて半日。辺りはすっかり暗くなり、月の青白い明かりが照っている。

今までは草原しか無かったが、前方に小川が見え、俺達を阻むかのように横に流れている。


「野宿か~・・・ キャンプファイヤーもできないし、お先に寝させてもらうわ」


時間帯も夜だろうし疲れも溜まっているので、歩みを止め川から少し離れた位置で野宿をすることになった。

アイリスは早速草のベッドで寝始めている。訂正、寝ている。そんな彼女は幸せそうにすやすやと眠り、寝息を立てている。

う~む、眼福じゃ。

このまま小動物(外見のみ)を観察していたいが、俺の眠さはピークを迎えつつあったので、アイリスからアレな関係に見えないぐらいの間隔を開けて、横になった。

ティアとロイも横になった俺を見てか、草のベッドに身を預けたようだ。

そして、俺は彼女らの寝息を聞きながらゆっくりと意識を失っていった・・・








side:アイリス・クロセリア



・・・みんなはもう寝たかしら?

私は横になったままうっすらと目を開け、ちゃんと寝ているか確認する。

・・・うん、大丈夫。

身を起こしゆっくりと立ち上がり、みんなを起こさないように川へ向かって歩き出した。






「綺麗ね・・・」


川の目の前に来た私は空を見上げ、そう呟く。

魔界では絶対に見れないような、見事な星空が頭上を覆いつくしている。

手で星空を掴もうとする動作をして、ロマンチックな気持ちになるのも良いんだけど、私は『Gプラン』の確認のために『アレ』を使い、ある人物を呼び出す。

『アレ』とは私が開発したテレビ電話のことで、目の前に映像を出し、声を届けることが出来る優れもの。映像は他の人には見えないようになっている。声は聞こえてしまうが・・・ まぁ、音量を調節できるから問題ないわね。


「《やっほ~! ゼシュール。『Gプラン』は進んでるかしら?》」


「《ちっ。・・・おぉ、これはこれは、魔王様じゃぁありませんか! てっきり狼のエサ・・・ もとい、食料になって骨にされているではと悲しんでいた所でした。いやぁ、お元気そうで何よりです》」


ツッコミ所が多すぎて対応仕切れないわ・・・

まぁ、帰ったら半殺しにすればいいし、改めて質問することにする。


「《それで・・・ 『Gプラン』はどうなっているか聞いてんだけど?》」


「《はい。既に実行しております。王に側近、宰相を捕獲し、エージェントを送り込み入れ替えさせました。今のところは順調ですね》」


「《そう? なら良いわ。邪魔しちゃったわね》」


どうやら計画は順調のようね。まぁ、早く結果を知りたい気もするけど、出るのは一ヵ月後だし気楽に待つとしましょう。


「《しかし・・・ 何故アイリス様は魔王だというのに城を抜け出し、勇者に係わろうとするのでしょう・・・ 精神年齢の低さからとても200年も生きてられるとは思えませぬな。っ! もしや、アイリス様のお胸が小さいのはそのs》」


「《・・・ゼシュール。それ以上言ったら城ごとぶっ壊す!》」


「《なっ!? 聞こえていたのですかっ!?》」


あぁ~、ムカツクわっっ!

さっきから黙っていれば私に嫌味を言いやがって!


「《今度会ったときは半殺しでは済まさないわよ?(ハート)》」


「《う、ぐ・・・ それだけはご勘弁を・・・》」


「《ふふふ・・・ どうやって甚振ってあげようかしら・・・? 呪い殺しちゃうのもありね・・・》」


「《わ、私には仕事が残っているので、失礼しますっ!」》


あ、逃げた。

まぁいいわ。どう足掻いても未来は変えさせないから・・・。

しかし・・・ このイライラ、どう晴らそうかしら・・・?


「ゼシュールめ・・・ 私の悩みを次々と、っ!?」


私はもう寝てしまおうとして後ろを振り返りながらそう呟く。




タツヤが居るのに気付かずに。





「お~・・・。気づかれちまったか」


タツヤが軽く私に話しかけながら近寄ってくる。

・・・どうしよう。

さっきの話、全部聞かれていたのかしら・・・

私は最悪の状況になっていないことを祈りながらタツヤに話しかける。


「・・・タツヤ・・・ その・・・ 聞いて、た・・・?」


「あぁ」


終わった・・・

まさかこんなところで私の計画が崩れてしまうなんて・・・

タツヤはうっすらと微笑みながらゆっくりと近づいてくる。

今の私には、タツヤの何気ない行動が全て恐怖に見えてしまう。

私が魔王だということを知った彼は、あの微笑みの下でどんなふうに殺そうか考えているに違いない。

く・・・、殺られる前に殺るっ!

私はそう決意し、右手に魔力で生成したナイフを作り、敵に向かって駆け出す。


「悪気があって聞いていた訳じゃないんだ。だが、非は間違いなくある。すまなかった。俺は誰にも言わないから安心してく、れぇっ!?」


私は一気に詰め寄りタツヤの首を目がけて一閃したものの、しゃがむことで回避されてしまった。


「あっぶねぇ! おい、アイリス! 急に何しやがる! いくら悩みを聞かれたからって殺しに掛かることはないだろっ!? いや、悪いのは俺なんだけどさっ!」


タツヤが何か口にしているが耳にうまく入らない。

私の方が圧倒的に強いはずなのに恐怖している自分に思わず笑みがこぼれる。


「短い間だったけど楽しかったわ。・・・貴方のことはわすれないであげる」


そう言い、何故か戸惑いながら立っているタツヤに私はナイフの刃を首筋に宛がった。







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