第七話 勇者が魔王と早速出会ったようです
やっと第一話の時間軸に追いつきました・・・
ようやくアイリスが登場します。
side:アイリス・クロセリア
ーー 回想 ーー
3匹のウォーウルフに襲われそうになった私だったけど、勇者(多分)が突然現れ、助けてくれました。
ーー 回想終了 ーー
皆さん忘れてしまってるかも知れませんが、お久しぶりなアイリスです。
少し計画からズレちゃったけど・・・ まぁ、問題ないわね。
「大丈夫か?」
前方から美しい声が私に掛けられる。
私は座り込んだまま、その、ウォーウルフ達を一瞬で倒した男の方を見つめる。
その男は黒髪黒目で日本人特有の肌色で、顔はとても整っている。
体つきはローブに隠れてよく分からないが、佇まいから引き締まった体型だと推測できる。
・・・思わず見とれてしまった。何回も転生し、美形は見慣れていたはずのこの私が。
顔が紅くなっていないか心配だ。
うん。こんなイケメンが勇者じゃない訳がないよね?
「怪我は無いみたいだな。・・・ほら、掴まれ」
「あ・・・ ありがと・・・」
助けてくれたイケメンがそう言い、手を差し伸べてくる。
私はその手に掴まり、ゆっくりと立ち上がる。
そして、私は掴んでいた手を離し、スカートについた土をパン、パンと払い落として「ふぅ」と一息ついた後、イケメンに話しかける。
「あの・・・ 助けていただきありがとうございました」
「いやいや、お礼を言われることはしてないよ。俺は眼に入った女の子を襲おうとしている魔物を切っただけだ」
その行動に助けられたからお礼を言ってるんだけどね・・・
どうやら目の前のイケメンは感謝されるのが苦手みたいだから、これ以上お礼を言うのを止め、ある事を聞いてみることにした。
恰も偶然気づいたかのように。
「あ・・・ もしかして、勇者様だったり、します・・・?」
「んお? よく分かったな。俺はタツヤ・カワギシ、一応勇者だ」
やっぱり、タツヤ・カワギシと名乗るイケメンは勇者だったようだ。
・・・「タツヤ・カワギシ」って絶対日本人の名前だよね?
私は「日本人よね?」と確認するわけにもいかないので、代わりに魔物に襲われてまで成し遂げたい計画を実行する。
「あ、あの! お願いがありますっ! 私を勇者様の仲間にしていただけないでしょうかっ!」
「は? ・・・どうしてこんな展開になった?」
タツヤは私の言葉を聞き、何かを考えるかのように「ぶつぶつ・・・」と呟きだした。
考える姿も様になっているわね・・・
「・・・とりあえず、君の名前を先に教えてくれないか?」
「あ、そうでした! すみません・・・ 私が先に名乗るべきだったのに・・・ 私はアイリス・クロセリアです」
「そっか。じゃぁアイリスって呼ぶぞ。それで、なんで俺達の仲間になりたいんだ? 何か理由があるんだろ?」
私は顔を俯かせ、いかにも深刻で人には言えない事情があるかのような「フリ」をする。
不味いわね・・・ これで時間稼ぎはできるけど、仲間になりたい理由を考えておくのを忘れていたわ・・・
だけど私は魔王になる前からも合して、1万年以上も生きている。
10秒程で理由を作り出し、顔を上げ、声を絞り出すかのように話し出す。
「実は・・・ 私は何故自分が此処にいるのかが分からないのです・・・。記憶喪失では無いのですが、気づいたらここに居ました・・・。それで、何も分からず彷徨い、野垂れ死なないために勇者様と同行することで生き延びようとして、仲間に入れてもらえないかとお願いしたのです。・・・すみませんっ! 勇者様を利用するかのようなことを・・・」
はぁ、疲れた。
これは私の名演技ベスト3に入るわね。
私は今にも泣きそうな顔をし、タツヤを見つめ、同情を誘う。
上目遣いのオマケ付きでね。
「すまんっっ! まさかそんな事情があるなんて知らなかった。本当にごめんっ!」
予想外の事態になってしまった。
なんでタツヤが土下座してんの?
少し理由を濃くしすぎたからかな・・・
私はこのまま見下ろすのも悪くないなと思うものの、今の状況がそれを許してくれるはずもないので、タツヤに言葉を掛ける。
「っ!? 勇者様! 顔を上げてください! というか何をしているのですかっ! 私などに頭を下げなくても良いのです!」
「・・・許してくれるのか?」
タツヤは顔を上げ私に許しを求める。
私は話をさっさと進めたいのでコクリと頷き、立ち上がるように促す。
「・・・良かったら俺達の仲間にならないか? こっちから今更、入れてやるなんて言えないからな・・・ ダメか?」
タツヤは立ち上がりながら私にそう言う。
やっと私の望む展開になったわね・・・
私はとびっきりの笑顔をタツヤに向けて、答える。
「はい! 勿論です!」
「よし、これからよろしくな、アイリス! あ、敬語は無しでいいぞ。できればその方が俺としては嬉しいしな。勇者だからと言って、遠慮もしなくていいからな」
「此方こそよろしくね。タツヤって呼ぶけど構わないわよね?」
「あぁ、好きに呼んでくれ」
よっし! やっと敬語無しで話せるわっ!
敬語は慣れてないから疲れるのよね・・・ タツヤに感謝しないとね。
「そうだ、今から食事の予定だったんだが、一緒に食うか?」
「えぇ。そうさせてもらうわ」
タツヤからの嬉しい話を聞き、私は言葉に甘えて食事をさせてもらうことになった。
さて、これから楽しくなるわね・・・
突然ですが、作者のイメージとして、
タツヤ:時々俺様成分が入るが心優しい勇者
ティア:一度言ったことは絶対に曲げないお姫様
ロイ:クールに振る舞っているが、実は熱血キャラ
アイリス:策略高く、演技が得意な魔王様
なのですが、どうでしょう?
結構矛盾するところがある(しかない)かも知れませんが、あくまでイメージですので・・・
え? ティアとロイはどうなったって?
それは次話で明らかになります。




