第三話 勇者が欲望丸出しのようです。
タツヤは頭は回るけど、変なところでバカなんです。
「王の御前である!」
そんな一声を聞き、平伏した。
王様から話があると一人の騎士・・・確かボードンさんだったか、に連れられ、謁見の間という場に来ていた。
俺は作法をしらないから、どうすればいいんだ? とボードンさんに聞いたのだが、
「だ~いじょうぶだって! この国の王はそういうことは気にしないからな! 気軽に行ってこい!」
と、軽く答えられ、不敬罪とか言われて死刑になるんじゃないかと思ってたのがバカみたいだ。
「そなたが新たに召還された勇者か?」
「ああ。タツヤ・カワギシだ」
「貴様ぁ! 王に対して無礼であるぞ!」
「いや、良いのだ。彼は勇者なのだからな。ところで、宰相バハーン。そなたこそ勇者に対して無礼ではないのか? 勇者は我と同じ地位だぞ?」
王にそう言われ、宰相バハーンと呼ばれた男は、うぐ・・・ と項垂れる。
おいおい・・・ 大丈夫じゃなかったのかよ。王がフォローしてくれなかったら死刑になってたんじゃないのか。
今からでも敬語に直そうとしたが、今更だな。
「では・・・ そなたは我が国アイカンを救い、勇者として魔王を討ってくれるか?」
「だが、断る!」
「っ!? なぜだ?」
いやっほ~い。言っちゃったぜ☆
そして俺は用意しておいた台詞を口にする。
「おいおい。二つ返事で俺が『はい』とでも答えるとでも思ってたのか?」
「そなたの考えが我には分からぬ。勇者になることは名誉でもあるというのに」
よし。ここまでは予想通りだな。
「よく考えてみろよ王様? 俺が元居た世界には、俺の家族や友人がいるんだぜ? みんな心配するだろうなぁ。誘拐されたとか、神隠しにあったとか言ってな。さらに、この世界に召還されせいで、俺の人生は暗闇まっしぐらじゃねぇか。折角猛勉強して高校に入ったっていうのによ? まぁ、つまり、お前らは自分たちのことしか考えてなく、人生狂わされた俺のことは何も考えてないってことだ」
「っ!? ・・・すまなかった。我々はこの国の厄介事をそなたに押し付けていたことに気付かなかった。いや、気づこうともしなかった。もう一度謝らせてもらう。すまなかった」
王様は椅子に座っていたが、立ち上がり、頭を深々と下げた。
やべ・・・ 王様ったら俺の言葉を真に受けちゃってるよ。
俺はこの世界に召還されて、内心、超喜んでいるというのに。
少し罪悪感があるが、この言葉で締めくくるか。
「顔を上げてくれ、王様。俺はただ、分かってほしかっただけなんだ。・・・それで提案なんだが、条件をいくつか吞んでくれるのなら勇者になってもいいぜ?」
「っ! それは本当か!?」
「あぁ。折角だからな。いつまでも過去を引きずるのは俺の性格じゃあないんでね」
「・・・恩に着る。・・・申してみよ」
「まず、これからは勇者を召還しないこと。二つ目は、ティアレイさんを俺と共に旅をさせてくれ」
「・・・へ?」
ふぅ・・・ この台詞を言うまでに無駄に苦労した気がするぜ・・・
今思ったのだが、素直に引き受けても問題なかったような気がするな。
「え、あ、あの、その・・・ タツヤ様!? ど、どうゆうことですひゃ!?」
今まで黙っていたティアレイさんだが、俺の言葉を聞き、動揺しているようだ。
けっこう凹むなぁ・・・ 俺って嫌われていたのか・・・
「言った通りなんだが・・・ 旅に信頼できる仲間は必要不可欠だからな。まだ、ティアレイさんと出会って短いが、ティアレイさんは信頼できる人だと確信しているからな。
・・・ダメか?」
「い、いえっ! そそ、そんなこと、ないです! 私はタツヤ様に付いていきます!」
ぃよしっ! 作戦成功だ! これでティアレイさんのポニーテール姿を何時でも見れるようになった。
ん? 異論は認めないぞ。
「じゃあ、俺眠いから部屋に戻るわ。王様、良いよな?」
「あ、あぁ・・・ これで、『勇者の儀式』を閉じる。今日はもう遅い。皆、しっかり休まれよ」
どうやら王様も俺の予想外の提案に驚き、固まっていたようだ。
まぁ、普通驚くわな。
そして、一仕事終えた俺は王様に背を見せ、部屋に戻るのだった。




