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ラスボス直前でセンター争いが勃発しました  作者: 水鳥 いつき


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9章 第一回握手会

初めての握手会が開かれた。 

私は大臣に握手会を欠席すると伝えた。大臣は怒っていたが、街の外にはモンスターがいる。人々のために少しでも倒しておかなければならない。あの魔軍曹ビリーブートもまだ生きている。私がやられた時にイケメンズは花火を鳴らして、モンスターが驚いている隙に私を救出してくれたそうだ。


今日はその魔軍曹を倒しに行く。イケメンズからオファーがあって私はお試しでパーティーに入ることになった。


「少しの間でいいんで僕たちのパーティーに試しに入ってください。アイラちゃんとなら魔王を倒せると思うんだ。絶対、僕たちとアイラちゃんは相性いいと思うんだ」

「まず、一緒に戦ってあの魔軍曹ビリーブートを倒そう!」


「たしかに、魔軍曹を早く倒さないと街の人々が安心して出かけられないけど……」


「もし、アイラちゃんがやられたら僕がいつでも「ヒール」するから」


「い、いつでも……してくれるの……」私はゴクリと唾を飲んだ。


「な、何回でも……していいの……」さらにゴクリと大きく喉を鳴らしてしまった。


「じゃ、じゃあ、街のみんなが安心できるようにちょっとだけね……」


出発前に私は一回だけ「ヒール!」をして貰うつもりでつい五回もして貰ってしまった。



あの鬼軍曹が出現した場所までもう少し、


「僧侶くんは回復の他にはどんな魔法がつかえるの? 防御魔法は幾つ使えるの?」


「えっ? 防御魔法ってなんですか?」


「えっ! 知らないの? ほら、人を鉄にしたりバリアーを張って火を跳ね返したり……」


「そんな非科学的なこと出来るわけないじゃないですか! やだなー冗談ばっかり」


「ちょっとまって、じゃあもし死んじゃったら生き返らせられるよね?」


「はっ? 人が生き返るわけないじゃないですか」


「か、回復だけなんだ……」


「もちろんです!」


ちょっと不安になって来たのでイケメン魔法使いにどんな魔法がつかえるか聞いてみた。


「僕の得意技はこの松の葉っぱをなんと鉄にかえられるんです、それを投げつける。凄く痛いですよ!」


「炎とか雷とかは?」


「燃やすものがあったらマッチで火をつけて投げつけるよ。雷は落ちたら怖いよねー、ゴロゴロいったらすぐ避難したほうがいいよね」


(おいおい……)


「吟遊詩人くんはどんな戦いを?」


「へっ? 僕が戦えるわけないじゃないですか! 今日のハイライトを歌にしますよ」

「アイラちゃんが戦ってた時の歌を歌いましょうか」


吟遊詩人は得意気に歌を歌いだした。


(しかも、あんまり上手じゃない……)


「一応確認なんだけど、商人くんは宝箱開けられるよね……」


「もちろん鍵があれば開けられますよ。でもモンスターが落とす宝箱はだいたい鍵がないのでそのまま売りますよ。任せてください、交渉は得意なんで高く買い取らせますから!」


(中身は見ないんだ……)


そして再び魔軍曹ビリーブートが30体のゴーレムと共に現れた。こうなったらやるしかない!



握手会の会場。

広間を5列に仕切られた先にブレア、リンドー、パーク、ラフロがいる。アイラは欠席している。

ブレアがラフロを見て叫ぶ。


「おいおい、ラフロちゃん、なんだその格好は!」

ラフロは黒い修道服というよりバニーガールの格好と言うのが正しい。ハイレグにウサ耳をつけて網タイツを履いていた。


「ブレアちゃんこそ、なんで握手会にそんなに沢山のお菓子とオモチャをお土産に用意してるの」


「いいじゃん、来てくれた子どもたちに配ったって」

「パークちゃん、それ何?」


パークはキューピットの矢を200本も用意していた。


「少子化の世の中なんだから、カップル誕生したらめでたいでしょ。これ集めるの大変だったんだから! それよりリンドーちゃん、それは反則じゃない」


リンドーは大量の金貨を用意していた。握手会に来た貧しい人に配るのだ。


「困っている人を助けるのが正義の味方だろ」


「それ、賄賂って言うんだよ!」


「うるせー!」



そして第一回握手会が始まった。


ラフロちゃんに並ぶ異様な修行僧の集団は病気から回復した一般人をドン引きさせた。全員、血走った目で超望遠のカメラを首から下げ、ハアハア言って並んでいる、ヨダレをたらしている者もいた。彼らは並んでいる最中にラフロちゃんを凄まじい勢いで撮影していた。それを見て気持ち悪くて並ぶのをやめて帰る人も沢山いた。


ブレアちゃんの列は長かった。しかし子どもと記念撮影したりお菓子を配っていることで進みが異様に遅く、あちらこちらから泣き出す子供が続出して、途中から後の家族は帰ってしまった。


パークちゃんには沢山の女子が並んだがキューピットの矢が欲しい人が多すぎて収集がつかなくなった。仕方がないので整理券を配ってからの抽選をした。その際の運営の不手際から激怒する人が続出してしまって大混乱になった。女子のクレームは凄まじく、沢山の人が怒って帰っていった。現場の運営の人たちはずっと平謝りだった。


リンドーちゃんの握手会に来る人は少なかった。下手に顔をだすと貰った金貨を警察に返さないといけないのではと言う噂が立ち、誰もこなかった。貰ったお金を自分のものにしたい貧乏人根性のなせる技だ。


大混乱の中、第一回握手会は終わった。意外なことに欠席のアイラちゃんに会いに来た人は誰よりも多かった。しかし、アイラちゃんがいないのでみんな不満そうだった。


来週は握手会の後に中間発表だ。


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