7章 リンドーの戦い
盗賊のリンドーです。
今回の総選挙で一番厳しい戦いになると思ってます。とにかく、盗賊のイメージが悪く逆風が吹いている。盗んで何が悪いのと主張したいのだが、世の中の正義マンがうるさいのでそこは引っ込めよう。
この選挙に勝つために、まず盗賊のイメージを一新することから始めようと思う。
世の中には悪い事をしてお金を稼いでる金持ちが沢山いる。私はそれら悪い金持ちの家に忍び込んでお金を奪っては貧しい人々に配ってまわった。
「ゲホッ!」
「お父さん大丈夫?しっかりして、ああ、うちに薬を買うお金があったら」
その時、チャリーンと貧しい人の家に響く金貨の音、私の選挙ポスターと共に数枚の金貨が残される。
「ありがとう、リンドー様」
もちろん盗んだ悪い金持ちの家にも「リンドー参上」と選挙ポスターに書いて置いていった。
城下町以外の評判を上げるのも大切だと思ったので、隣の国にカリオスドロボー公国のクラクラ王子が幽閉されているのを聞きつけて救出することにした。
夜のカリオスドロボー城の一角、クラクラ王子が月を眺めながら悲嘆に暮れていると人影が……
「誰?」
「盗賊さんで〜す」
「私に盗まれてやって下さい、クラクラ王子」
……とこんな感じで王子を脱出させた。ついでに王子の心も盗んでやった♡
なにせ、王子はずっとこんな部屋に閉じ込められて欲求不満だったので、夜に忍び込む時の私のユニフォーム、黒いレオタードがまずセクシーに決まった。
さらに、盗賊ならではの極上のお酒のサービスと共に心を盗む私のテクニックに一発でやられてしまった。王子を国に送り届けたときには「リンドー」と名前を書いたガラスの靴をわざと片方置いていった。今も王子はその靴を大事にしてると聞いている。
これらの私の活躍は連日テレビと新聞に載った。なんだか、これからは悪い金持ちからしか盗めない空気になったのがちょっと辛いけど、イメージアップのために仕方がない。
これで盗賊のイメージも変わったかしら?低収入層の人たちが私に投票してくれると良いのだけど。
ラッキーなことに、新聞を見たクラクラ王子が隣の国から外交圧力をかけてくれてるおかげで、警察が私を捕まえられないみたい。
これからは盗みし放題、さらなるイメージアップのためにたくさん貧しい人を救っちゃうぞ!
多様性の世の中、盗賊のセンターは世界が望んでいるはず、絶対センターになるんだ!
センターを盗んじゃうぞ!
みんなの心を盗んじゃうから投票してね!




