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ラスボス直前でセンター争いが勃発しました  作者: 水鳥 いつき


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14章 赤い火星

ラフロは山を超えた隣の国にオジサマとバカンスに来ていた。    

中間発表で落ち込んでいたので気分転換をしにきた。オジサマは優しかったがラフロの気分は晴れなかった。

ここは美しい湖のあるリゾートで多くの観光客も訪れていた。


修行僧たちがアイラちゃんに流れてしまい、もはやただのオジサンのアイドルと化したラフロは選挙に対して虚しい気持ちで一杯だった。


「あ〜あ、あんなに頑張ったのにな……」と小さく呟いてはため息をもらし、ピンドンペリを飲み干す。


湖のビーチには沢山の家族連れがいて子供達が走りまわっていた。とてものどかな雰囲気だ。


(なんか、やる気なくなっちゃたな……)


そんなことを思っていると、突然、湖が赤く沸騰し始め、地鳴りが聞こえたと思ったら、湖から赤い火星と呼ばれるマー魔少佐が現れた。手下に黒い100連星と呼ばれる100体の悪魔を従えていた。


オジサマは腰を抜かし、リゾートは一瞬にして大混乱に陥った。

 

「赤い火星マー魔少佐も復活しちゃったんだ!?」とラフロが叫んだ。


「みんな逃げて!」


かつて、たった一人で当時人類最強の王国と呼ばれたジヨン公国を滅亡に追い込み『赤い火星』と呼ばれたマー魔少佐は、数え切れない無数の火山弾を発射した、部下の100連星も黒い矢を連射する。空から火炎弾と黒い矢が雨のようにふり注ぐ。


ラフロはとっさに巨大なバリヤーを張る。


「みんなこの中に入って!」


ラフロが叫ぶ。人々がバリアーの中に殺到するが、あまりにも人が多くて入り切れない。


「お母さ〜ん」

「坊やだけは入って、お母さんは無理。外にいるわ」


バリアーに入りきれなかった人々に容赦なく火炎弾と矢が降り注ぐ。


「お母さ〜ん!」


子供の涙も虚しく、バタバタと人が倒れて行く。


火山弾と矢が一時止み、辺りは傷ついて倒れた人たちでいっぱいだった。ラフロがマー魔少佐に怒りの封印をかけようとする。その気配をマー魔少佐は察し、ラフロを見つけると後退りをし100連星を置き去りにしてコッソリ逃げて行った。

マー魔少佐がいなくなったことに気づいていない黒い100連星は武器を矢から槍に変えて山を駆け下りこちらへ向かって来る。


100連星が来るまでしばらくかかりそうなので、ラフロは倒れた人たちに回復魔法をかけていった。しかし、あまりにも数が多くて手に負えない。


「この辺りに僧侶はいないの?」


「この国では僧侶は人気がなくて……この国では僧侶は坊主頭が必須なのでビジュが悪いと若者が嫌がってしまって。しかも、現役僧侶がお葬式や法事であまりに高いお金を要求するので評判が悪いのです、なので僧侶になる人は少ないのです」


「お姉ちゃん、僕手伝うよ! 僕も! 私も!」子供たちがラフロを助ける。


「ありがとう、じゃあ怪我をした人にお水を飲ませたり、傷を水で綺麗にしたりして」


「うん!」


そうこうしているうちに黒い100連星は地響きを立てて迫って来る。


「どうしよう、私だけじゃ無理、ブレアちゃんかパークちゃんがいれば……」


あまりにも多くの人に回復魔法を使ってしまったためにMPも少なくなっている。ついに、黒い100連星が山を駆け下り目前まで迫っている。


「もう……ダメ……」


黒い100連星がラフロたちに襲いかかろうとしたとき、馬に乗った集団が間に割って入った。


「アチョー! ハイハイ! ハッ!」


国境付近の森の中に普段は人知れず住んでいる「少森寺」の僧侶たちが、赤い火星のマー魔少佐を見て駆けつけたのだった。少森寺は僧侶の中では珍しく回復や防御ではなく攻撃に特化したお寺だった。それぞれの僧侶は各々の武器をもっている。剣、槍、トンファーにヌンチャク、三節棍など思い思いの武器を持った僧侶が黒い100連星を次々と倒していく。


「ハイハイ! ハッ! アタタタタ!」


「凄い! あのお坊さんたちカッコいいよ!」子供たちが目を輝かせる。


少森寺の僧侶は強かった。黒い100連星は大半がやられてしまい逃げ帰って行った。


ラフロは助かったとホッとして座り込んでしまった。子供たちがラフロの周りに集まる。


「お姉ちゃん、僧侶ってカッコいいんだね。僕、大きくなったら絶対僧侶になる。私もなりた~い!」


(いままで、僧侶がカッコいいとは思わなかったな……そう言われちゃうと僧侶やってて良かった。私もこれからはカッコいい僧侶になっちゃおうかな)


「お姉ちゃんもカッコ良かったよ! お姉ちゃんありがとう! お姉ちゃんのおかげで僕たち助かったんだ、お姉ちゃんみたいな僧侶にもなりたい!」


(えっ……)


ラフロは人生で最も僧侶であることに誇りに思った瞬間だった。そして、子供たちの憧れの僧侶にこれからはなろうと心に誓うのだった。




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