13章 新たな戦い
中間発表が終わった。
得票率は、
アイラ 70%
ブレア 15%
パーク 8%
ラフロ 5%
リンドー 2%
という結果だった。今回の大臣は不正に厳しいらしく、パークちゃんのギャンブラー票はすべて無効になった。
私以外のメンバーは落ち込んでいた。
◇
ここは人里離れた森の中、ブレアは一人で焚き火を見ながらため息をついている。
選挙の結果を受けてすっかり人間嫌いになってしまい、気分転換に森にソロキャンプに来ていた。
「昔はなんで親戚のおばあちゃんたちって、一人で森に住んでるんだろう?って思ってたけど、今は気持ちわかるな」
「ルールを守らないのに、どうしてキレられるんだよ、一人10秒だろうが、大人のくせに子供を泣かせたとか言ってるんじゃねーよ」
「考えたら人間と魔法使いって相性悪いよな、いつもいじめられてる気がする」
このまま、この森に住もうかな、なんだか魔王もどうでも良くなってきた。
そんなことを思っていると、森の影から二人の男の子が現れた。イケメンズの僧侶と魔法使いだった。
「イ、イケメン!?」
「先日は、ご迷惑をお掛けしました。僕たち、ビリーブートに簡単にやられてしまって……」
二人は焚き火を挟んでブレアの前に座った。柔らかい炎が二人を照らす。
「僕たち、悔しくて……アイラさんをスカウトしたのに、一人で戦わせてしまって。危険な目に合わせてしまった……」
二人の目から涙が溢れる……
(か、可愛い……)
「ブレアさんの魔法凄かったです。あんなに沢山のゴブリンが一瞬で……僕もブレアさんみたいになりたい……」
イケメン魔法使いはボロボロ涙を流す。
(いやん、可愛い……胸がキュンキュンする……)
ブレアは両手を魔法使いに向けて広げる。
「おいで、私の胸に!」
「うん!」と言ったままイケメン魔法使いは涙で動けない。
「僕たち、踊り子にでもジョブチェンジした方がいいのかな……」二人とも泣き止まない。
ブレアは立ち上がり二人を抱きしめる。
(「うん!」だって……可愛いすぎるんだけど……)
「よし!」とブレアが叫び、両手をかかげて呪文をとなえる。そして泊まる予定のログハウスに魔法をかけると二人を中に入るように促す。
ログハウスに入ると、そこには不思議な世界が広がっていた。
「ここは?」
「精神と時の空間、ここで一ヶ月ほど修行してみる? ここでは、外の1時間が1日分になるんだ。選挙もあるからあんまり時間はかけられないよ。つまり30時間で一ヶ月ぶん、修行をさせてあげるよ」
「いいんですか! ありがとうございます!」
「この一ヶ月は私の言うことを聞くんだよ。修行は厳しいよ、覚悟はある?」
「は、はい! よろしくお願いします。師匠!」
「師匠じゃなくて、お姉さま♡」
「はい! お姉さま!」二人は声を揃えた。
ブレアが魔法の杖を召喚しサッと二人に向けて振ると、二人はネズミのカッコに変わった。
(うん、可愛い♡)
「お姉さま、この服装は?」
「魔法使いの弟子はネズミって決まってるの、一ヶ月はこの格好よ、それから私が疲れちゃったらおんぶしたり、もし怖い夢みたら添い寝して、お願いしたらご飯を食べさせて、たまに一緒にお風呂入ったり……いやんエッチ……」
イケメン二人は苦笑いをしている、そして修行が始まった。
◇
そして、30時間の終わり頃。
ブレアの指導でイケメン魔法使いはいくつかの攻撃魔法を僧侶は回復魔法の強化と簡単な防御魔法を習得した。
まだまだだが、以前とは見違えていた。
「お姉さま、ありがとうございました。僕たち少しは自信がつきました。そして魔法の偉大さと楽しさに改めて目覚めました」
「そこで、お願いなんですけど」
「えっ、何?」
「選挙、僕たち全力で応援するので絶対センター取って下さい! 世間に、お姉さまと魔法の素晴らしさを知らしめたいです。お姉さまならセンター取れます!」
「お前たち……」
「わかった。絶対センター取るよ!」
三人は顔を見合わせて笑った。
ところで、アイラちゃんが「イケメン僧侶から全回復魔法受けてみて、超おすすめだよ」って言ってたんだけど、どうなの?
「是非、お姉さまに僕の修行の成果を受けて欲しいです。この一カ月、僕たちに指導してくれて疲れていると思いますので、僕の全身全霊で全力の全復活魔法を受けて回復して欲しいです」
「じゃー、お願いしようかな、肩こりも最近出てきたし、サウナでも行ってリラックスと思ってたんだ!」
イケメン僧侶が「スーパーヒール!」と呪文をとなえると、以前より遥かにパワーアップした、猛烈にピンクに輝く光と遥かに数が増した星々がブレアを激しく包み込む。
汗びっしょりになったイケメン僧侶が魔法を終えると、ブレアは失神してピクピクと全身が痙攣していた。
「お、お姉さま、大丈夫ですか!? 何か、失敗したのかな?」
慌てて、僧侶がブレアを抱き抱えるとブレアがゆっくりと目を覚ました、はぁはぁと猛烈に息が荒い。
そして、荒い呼吸の中、震える手で抱きかかえた僧侶の頬をさすると、「おぉ……YES!……マジック……も……もう一回……」と言った。




