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43話

 




 ネフェルティティの部屋で、パチッ!と目を覚ました準之介は、立ち上がると大きく伸びをした。目覚めはすこぶる良好だ。


 人間だった頃の寝起きといえば基本的に怠く、酷い時には頭痛すらしていた。だが今は疲労感など一切なく、騎士に斬られた背中の痛みもとっくに消え去っている。


「おおジュン、目を覚ましたか」

「ああ……」


 人間のオッサン姿の幽霊となったカツジに答える。


 最初この部屋に入った時、カツジは涙を流すほど感動に打ち震えていた。二十年以上ダンジョンに潜り続けてきた彼ですら、隠し部屋の存在など一度も目にしたことがなかったからだ。しかし、その興奮も今ではすっかり落ち着いている。


「……行くのか?」

「ああ」


 準之介は深く頷いた。これから、あのフルプレートアーマーの騎士に挑むのだ。


 あの日から今日までに、五百体もの雑魚敵を倒してその魔石を取り込んできた。その成果はあからさまに肉体へ現れており、腕や足が自分でもハッキリ分かるほど太く逞しくなっている。


 短期間での魔石の過剰摂取は体に毒だというのがゴブリンの常識だが、スリープゴブリンとして十分な睡眠をとっているためか、これまで身体に異常をきたしたことは一度もない。


「錆丸、行けるな?」


 愛刀に問いかけると、「ブーン」と静かな振動音が返ってきた。


 錆丸もまた変化を遂げており、以前よりも明らかに刀身が分厚く重厚になっている。


「危ないと思ったらすぐに諦めるんだぞ? 生きていればまた再挑戦できるんだからな」


「分かってるよ、カツジ」


「よし、それならいい!」


 準之介はいつものようにホルマリン漬けの美女に挨拶をして、決戦の地へと踏み出した。







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