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40話

 


 異様なほどに白い部屋の中で、準之介は目を覚ました。


 天井には青白い光を放つ照明灯がある。ここが異世界であり、ダンジョンの中であるとは思えない光景だった。


 ここではどれくらいの時間が経過したのか分からないが、そう長くは眠っていないはずだ。スリープゴブリンの特性により、二時間の睡眠で八時間分の休息効果を得られるからである。


 おもむろに起き上がり、リュックサックから果物を取り出してかぶりついた。


「美味い……」


 カツジのアドバイスに従って持ってきた果物は、確かに美味しかった。


「さて、と……」


 スモモに似た果物を種ごと完食し、肩を回してみる。痛みはない。背中の傷はすっかり回復しているようだった。


「よし……」


 あの騎士を倒そう。一度眠って頭がスッキリしたところで、心は決まっていた。


 ただし、それは容易ではない。分析するまでもなく、敵は自分よりも圧倒的に強いからだ。しかし、勝機がないとは思わない。周囲の魔物を倒して魔石を喰らい、力を取り込めばいい。要はレベル上げだ。準備が整う前に敵と遭遇してしまったら、またここへ逃げ込めばいいのだから。


「錆丸、お前イケるか?」


 前回の戦いではフルプレートアーマーに傷一つつけられなかった愛刀へ目をやる。すると、「ブーン」という音とともに、刃が細かく振動した。


「分かった、分かった」


 どうやら錆丸はやる気満々のようだ。この刀もまた、自分との戦いを通じて進化してきたのだから。


 タイムリミットは水か食料が尽きるまで。


 敵討ち――そんな格好いい理由じゃない。やりたいからやる。勝てる手段を見つけたからやるのだ。


(もしカツジの魂が『死にそうだと思ったらすぐに逃げろ』と言ってきたら、そう言い返してやろう)


 準之介はホルマリン漬けの美女を見つめながら、静かにストレッチを始めた。





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