38話
「ゴーッ!」
突然、背後から放たれた騎士の凶悪な横薙ぎの一撃。準之介は反射的に前回り受け身を取り、間一髪で斬撃を躱した。
「あっぶね!!」
自分が通って来たルートは警戒していたが、まさか別のルートから回り込んでくるとは思いもしなかった。
すぐさま立ち上がり、光り輝く壁――「扉」に向かってなりふり構わず走り出す。
(鍵穴だ……鍵穴はどこにある!?)
手にした『ネフェルティティの部屋の鍵』を握りしめ、数十メートル先から必死に目を凝らして壁表面を探す。だが、どこにも鍵穴らしき凹凸が見当たらない。光の扉はただモニターのような平面的な光を放っているだけだ。
背後からは騎士の重厚な足音が着実に迫っていた。やはり移動速度自体は鈍重だが、ここで立ち止まれば、あっという間に追いつかれて惨殺される。
「えっ……!?」
その時、光の扉へと急接近するにつれて、手に握りしめた鍵が強い力で壁へと引っ張られていることに気づいた。
(こいつに任せるしかない!!)
鍵が扉を求めているような気がした。敵の気配は感じられない。それでも追われていることだけは間違いなかった。
「行け!行けーーー!!」
近づけば近づくほどに引き寄せる磁力のような力は凄まじさを増し、ついには鍵を持つ右手ごと、走る全身を無理やり引っ張るほどまでに強大化した。
それはまるで大型犬に引っ張られる飼い主のようだった。その勢いは扉が近づいても止まることは無い。
「うわぁあーーーーー!!」
このままでは光の壁に激突してしまう――そう思って慌ててスピードを落とそうとした瞬間、腕がもげんばかりの凄まじい力で壁へと引きずり込まれ、準之介の体はその光の中へと一瞬で吸い込まれていった。
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