36話
「すごい! これはすごいぞ!! 私は二十年以上ダンジョンに潜っているが、虹色の宝箱なんて見たことも聞いたこともないぞ!! これは発見だ、大発見だ! うぉーーーーーーーー!!!」
「あ、あ、あ……」
カツジが興奮で声を張り上げる中、準之介は満面の笑みを浮かべたまま、ヨタヨタと宝箱へ近づいていく。
荒い息を吐きながら這い進むその姿は、まるで変質者のようだ。変質ゴブリン――正確に言うならば、変質ホブゴブリンである。
地面に両膝をつき、虹色に輝く宝箱へそっと手を伸ばす。
ギィー……。
重々しい音を立てて、ゆっくりと宝箱が開いた。
「なんだ、いったい何が入っているんだ!?開けてくれ、早く開けてくれジュン!」
青い宝箱の時は少し離れた場所で周囲を警戒していたカツジも、今回ばかりは準之介へぴったり寄り添うようにして、食い入るように中身を覗き込んでいる。
「…………」
宝箱の底に鎮座していたのは、淡い光を放つ一本の鍵だった。
「お、お、おおお………」
呻き声のようなカツジの声が聞こえた。その反応が大げさでないことは、その鍵が持つなんとも異様な雰囲気のせいだった。間違いなく力を持った魔道具だ。
期待と喜びに満ち溢れていたはずの準之介になぜか不安が押し寄せ始めた。それでも止まること無く手を伸ばし、それに触れた瞬間、頭の中に声が響き渡る。
《物品名:ネフェルティティの部屋の鍵》
《詳細:ダンジョン内に存在する隠し部屋を開くことができる鍵》
「これは……? はっ!!!」
その瞬間、背筋を凍りつかせるような悪寒が走り、準之介はとっさに前方へ飛び退いた。
「ぐおっ!?」
背中に焼けるような激痛が走る。
前回り受け身の要領で振り返った準之介の視界に飛び込んできたのは――フルプレートアーマーの騎士と、首が転げ落ちるカツジの姿だった。
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