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35話

 


「よし、来いっ!」


 気合いを入れて青い宝箱を開ける。……入っていたのは『たわし』だった。


「クソッ!!」


 準之介とカツジは気を取り直して探索を再開した。


 しばらく進むと、またしても宝箱を発見した。


「来い、来い……!」


 祈るように青い宝箱を開ける。……入っていたのは、やっぱり『たわし』だった。


「クソがぁ!!」


 吐き捨てるように叫び、再び歩き出す。


 さらに奥へ進むと、三つ目の宝箱が現れた。


「今度こそ来いよ!?」


 青い宝箱を開ける。……当然のように『たわし』が入っていた。


「クソがああああああああっ!!」


 怨嗟の声を響かせ、探索を再開する。


 そして、四つ目の宝箱。


「今度こそまともなやつ来いよ!!」


 青い宝箱を開ける。……『たわし』。


「ふざけんなぁああああああ!!! クソっ!! クソっ!! クソっ!!」


 何度も床を踏み鳴らす準之介を引き連れ、カツジは黙々と先へ進む。


 五つ目の宝箱。


「今度こそ……今度こそ来い!!」


 青い宝箱を開ける。……『たわし』。


「クソがああああああああっ!!」


 発狂しそうな頭を抱え、さらに奥へ。


 そして、六つ目の宝箱。


「これ、もしまたアレだったら……分かってんだろうな!?」


 半ば脅しながら青い宝箱を開ける。……鮮やかなまでに『たわし』。


「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」


 ダンジョンの壁を振動させるほどの絶叫が轟いた。


「……待つんだ、ジュン」


 さすがに見かねたカツジが制止をかけた。


「あ? ああ!?」


「……今回は一旦、引き揚げた方がいい」


「ど、ど、どうしてだ! どうして、どうしてだよっ……!」


「怒りで頭がおかしくなって、まともに会話すらできていないじゃないか。前に教えただろう? ダンジョンでは冷静さが何よりも重要なんだ。今の君はあまりにも危険すぎる」


「もう一回! せめてもう一回だけ!! 次こそは絶対に良いやつが出る気がするんだ! いや、良いやつなんて贅沢言わない、もう『たわし』以外なら何だっていい! 俺はとにかく、この箱の中に『たわし以外の何か』が入っている光景が見たいんだよぉおおおおおおおおお!!」


「うーむ……君はどうやら、ギャンブルで破滅するタイプのようだな……」


「今の俺が冷静じゃないのは分かってます! だからお願いです、あと一回だけ……っ!」


「頭まで下げるとは……普通、ホブゴブリンがゴブリンにそんな真似をすることはしないんだがな。だが、大丈夫か? 君はさっきからずっと戦いっぱなしだ。二回目のダンジョン探索にしては、ちょっと追い込みすぎだぞ」


「大丈夫、そこは平気です! だから……もう一回だけ!」


「……分かったよ。それじゃあ、次を最後にしよう」


「ありがとうございます……!」


「最初から思っていたが、君はずいぶんと変わったホブゴブリンだな……」


 カツジは呆れ半分に苦笑しながらも、申し出を受け入れてくれた。納得した二人は、再び暗い通路を奥へと進み続ける。


 すると――。


「おっ、おっ、おっーーーーー!!!!」


 準之介の悲鳴とも歓喜ともつかない絶叫が、薄暗い洞窟内に響き渡った。


 二人の視線の先。暗闇の奥に鎮座していたのは――七色に怪しく輝く「虹色の宝箱」だった。






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