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私を殺したユーレイは今日もやかましい  作者: ほのぼのる500
第4章 ユーレイと旅をすると……

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106話 地図で確認しよう

「つ、疲れた……」


 タンリガ村で借りた宿の部屋に入ると、ベッドに倒れ込んだ。


 ランカ村を出発してから、何度か休憩はあったけど、ずっと馬に乗り続けた。さすがに乗馬を練習したとはいえ、長時間の移動だったので体が重い。

 

 でも頑張ったおかげで、翌日のお昼にはタンリガ村に到着できたけどね。


『リーナ』


 ユウが私を呼んでいる声が聞こえるけれど、応える元気がない。


『これは駄目だな。でも、俺の声は聞こえているよな?』


 ユウの声が聞こえるほうに右手をちょっと上げると、ユウが笑った。


『周辺を見てくるな。ゆっくりしておけよ』


 言われなくても、今は動けないよ。


「はぁ」


 しばらくベッドでゆっくりしてから起き上がって、部屋を見渡す。

 

「この部屋、机もないんだ」


 キーフェさんが「寝るだけの宿だ」と言っていたけど、部屋にはベッドと椅子が一脚しかない。それに驚きつつ、部屋の窓からタンリガ村を見る。


 ランカ村よりは人が多いかな。でも、雰囲気はランカ村とよく似ているかも。


 コンコンコン。


「リーナ、起きてる?」


「お兄ちゃん、どうぞ」


 部屋に入ってきたお兄ちゃんは、手にコップを二つ持っていた。


「暖かいミルクをもらってきたよ」


 ミルクの入ったコップを私に渡すと、お兄ちゃんは部屋に一つだけある椅子に座り、ミルクを飲んだ。


「ありがとう」


 受け取ったミルクを飲むと、暖かさがじんわりと体に染み渡った。


「おいしい」


「よかった」


 お兄ちゃんとゆっくりミルクを飲んでいると、ユウが部屋に戻ってきた。


『リーナ、復活したか?』


 ユウを見て小さく頷くと、彼はホッとした表情を浮かべた。


『この周辺には、不審者はいないと思う。あと、フォガスが女性の冒険者にナンパされてた』


 んっ?


 ユウの報告に動きが止まる。


『すっごく積極的な女性でさ「これから一緒に飲みに行きましょうよ~」といいながら、腕に胸を押し付けていたんだよ。……うっらましい~』


 なんの報告かと思ったら、うらやましかったのか。


 ユウに呆れた視線を向けると、本気で悔しがっていたのでため息がこぼれた。


「リーナ、どうしたの?」


 お兄ちゃんが、ユウがいるほうを見て首を傾げる。


「何でもないよ」


 笑って誤魔化そう。だって「ユウが、ナンパされたフォガスさんをうらやましく思っているみたいで」なんて、言えない。しかもお兄ちゃんにとってユウは精霊だし……。


「そう?」


 納得していない様子のお兄ちゃんから視線をそらして、少しぬるくなったミルクを飲み干す。


「ごちそうさまでした」


 コンコンコン。


「リーナ殿、フォガスです。少しいいですか?」


 フォガスさんの声に、扉へ視線を向ける。


「どうぞ」


「アグス殿を知りませんか? あっ、こちらでしたか」


 扉を開けて入ってきたフォガスさんは、お兄ちゃんを見て安堵した表情をした。


「ごめんなさい。リーナの部屋に来る事を伝えていませんでした」


 お兄ちゃんが謝ると、フォガスさんが首を横に振る。


「いえ、いちいち伝える必要はありません。そうですね、宿を出る場合は事前に教えて欲しいです」


「わかりました。それでどうして俺を探していたんですか?」


「はい、これからの事を相談したいので、夕飯前に話そうと思うのですが、大丈夫ですか?」


 フォガスさんがお兄ちゃんと私を見る。私はお兄ちゃんと顔を見合わせると、フォガスさんに視線を向け頷いた。


「「はい」」


「それでは、キーフェの部屋に行きましょうか」


 フォガスさんの案内で、キーフェさんの部屋に行く。


「どうぞ。アグス殿とリーナ殿は、ベッドに座ってください」


 キーフェさんの部屋も私と同じで、ベッドと椅子が一脚しかない。だから部屋に四人も集まると、ベッドに座るしかなく、少し戸惑ったけれど、お兄ちゃんと一緒にベッドに座った。


「ここまでちょっと飛ばしてきましたけど、大丈夫ですか?」


 キーフェさんが心配そうに私とお兄ちゃんを見る。


「はい、俺は大丈夫です。リーナは?」


「私も大丈夫です」


『いや、大丈夫じゃないだろう。アグスは落ち着いたけど、リーナは顔色が悪いぞ』


 えっ、そうなの?


 鏡を見てこなかったから気づかなかった。


 キーフェさんはお兄ちゃんと私を見て少し考えこむと、私を見て微笑んだ。


「明日からはゆっくり移動しましょう」


「それは大丈夫なんですか? 予定が狂ったりしませんか?」


 私の問いに、キーフェさんは笑って首を横に振る。


「ここからは、一切の予定を決めていません。どこに行くのか、何日かけて行くかなど、臨機応変に動きます」


 状況に応じて動くって事か。


「アグス殿とリーナ殿は地図を見た事がありますか?」


 キーフェさんの問いにお兄ちゃんが首を横に振る。


「いいえ、ありません」


「私は、ランサ森の位置を確認したかったので、ランカ村周辺の地図を見たくらいです」


 私の返答にお兄ちゃんが驚いた表情をした。 キーフェさんもフォガスさんも、なぜかお兄ちゃんと同じ反応をしている。

 

「えっ?」


 私は三人の反応に戸惑って、思わずユウを見る。


「なるほど、そうですか」


 私がユウに視線を向けると、キーフェさんが何度か頷くと、私を見て笑った。


「わかりました」


 何が? 何がわかったの?


「それでは、地図を見てください」


 えっ、話を進めるの?


 キーフェさんが大きな地図をベッドの上に広げる。私は戸惑いながら地図を見る。


「右隅にあるのがランカ村です。そして今いるのが、ここです」


 キーフェさんが地図上のタンリガ村を指す。私は、ランカ村からトラス村、そしてタンリガ村を確認する。


「この線はなんですか?」


 お兄ちゃんが地図の一部を指すとキーフェさんを見る。

 

「それは馬車がすれ違えるくらい横幅のある道です。町や村をつなぐ重要な道です。隣の線は川を表していて、こっちのマークは針葉樹、こっちは広葉樹の森を表しています。タンリガ村の周辺は広葉樹のマークが等間隔に並んでいるので、この村は広葉樹の森に囲まれている事が地図からわかります」


「すごいですね。地図から、そんな事がわかるんですね」


 お兄ちゃんが感心した様子で地図を見る。それを少し不思議に感じながら、タンリガ村の隣の村を見る。


「トランサ村、次が、オトス村。この二つの村の間には山がありますね」


「山? どうしてわかるの?」


「主曲線と計曲線からわかるよ」


『そういえば、この世界の地図って日本の地図と同じマークを使っているよな』


 ユウの呟きに、はっとする。


 どうして日本の地図と同じマークが使われているんだろう? そのおかげで地図は読めたけど、おかしくない?


『そうか。学校でまだ習っていない地図のマークを理解しているから、みんなは驚いたんだ。で、俺がリーナに教えたと思ったから、キーフェもフォガスも納得したんだな』


 なるほど、キーフェさんが納得した様子だったのは、それか。


 ユウの説明に、思わず頷いてしまう。


「リーナ殿?」


 キーフェさんが戸惑った表情で私を見る。


 えっと……誤魔化そう。


「山は少し高いみたいですけど、準備が必要ですか?」


 これ、誤魔化せているのかな?


「大丈夫です。地図には書かれていませんが、通り抜けできる道があるので、そこを通ります」


 キーフェさんの説明に首を傾げる。


『地図に書かれていない道があるんだ。もしかして、わざと地図に書いていないのか? その理由は? リーナ、聞いて! 聞いて!』


 ユウが興味津々な様子でキーフェさんを見る。


「どうして地図に書かれていない道があるんですか?」


私もちょっとだけ興味があるからね。


「新しくできた道なんです。次の地図を作る時には、書かれると思います」


 なんだ、そんな理由か。


『なんだ。そっか』


 キーフェさんの返答に、ユウと同じことを思ったみたい。ちょっと恥ずかしいかも。


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