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私を殺したユーレイは今日もやかましい  作者: ほのぼのる500
第3章 番外編 王都と教会

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103話 宝玉の修復

―教会の司教 アルテト・ルーグ視点―


 『女神の祈りの間』に入ると、バルス教皇が私を見た。


「いよいよだな」


「はい。今日中に、おそらく宝玉のヒビは完全に修復されると思います」


 バルス教皇の前にある、私の拳三個分はある巨大な特級ランクの魔石を見た。


「はじめてくれ」


 バルス教皇の言葉に、特級ランクの魔石の調査を行った調査員たちが、魔石を宝玉の傍に移動させると、特級ランクの魔石からふわっと白い光が宝玉の方へ移動し始めた。


「この不思議な光景も、今日で見納めですね」


 チェスラ司教が呟くと、バルス教皇が感慨深い表情を浮かべた。


「そうだな。全てはみんなの力だ。ありがとう」


 四人で、おそらく最後になる宝玉の修復を見ていると、数ヶ月前に届いたフォガスからの手紙を思い出した。


 その手紙には、チャルト子爵が異端者だと判明した事が書かれていました。それに驚きながら二枚目に目を通すと、リーナ殿が洞窟で特級ランクの魔石を見つけてくれたと書かれていたのです。私の見間違いではないかと、何度も瞬きをして、もう一度手紙を読み直してしまいました。そして、間違いなく書かれているとわかると、思わず女神さまに祈りました。


 以前届いたフォガスからの手紙で、リーナ殿は精霊さまが見えているとわかりました。予想していた事なので、驚く事はありませんでしたが、やはり気持ちが高ぶりましたね。そして、フォガスがリーナ殿に少し信頼してもらえた事も、手紙から伝わりました。


 私は正直、すぐに特級ランクの魔石がどこにあるのか聞きたかったです。ですが、それでは精霊を利用して嫌われた過去の教会関係者と同じです。だから、時間ができたら、私が会いに行き、リーナ殿と精霊さまに懇願するつもりでした。


 それなのに、リーナ殿と共にいる精霊さまは、お願いする前に我々に特級ランクの魔石を授けてくださいました。リーナ殿と共にいる精霊さまは、慈悲深いのでしょう。


 そして始まった調査ですが、調査員たちは洞窟にあった特級ランクの魔石の量に驚いたそうです。私も内密に見に行きましたが、圧巻でした。


 特級ランクの魔石の調査は約三週間かかりました。そして調査の結果、特級ランクの魔石には、純度の高い聖なる力が込められている事が証明されたのです。私は、この調査結果が出たあと、バルス教皇とユーフィン司教とチェスラ司教に特級ランクの魔石が見つかり、宝玉の修復に問題なく使える事がわかったと報告しました。


 ユーフィン司教はすぐに、特級ランクの魔石はどこにあるのか、見つけたのは誰なのか聞いてきました。私は、司教二人には全て極秘とすると言い切りました。それを聞いたユーフィン司教は怒りをあらわにしました。チェスラ司教もかなり不満そうでしたね。


 ですが、教えられない原因は二人にあります。


 ユーフィン司教の護衛騎士が酒に酔い、内部情報を漏らした事が発覚したのです。またチェスラ司教も、彼を支持する貴族が、聖女さまを捜索していたのが見つかりました。教会内での二人の信頼は、今や地に落ちたと言っていいでしょう。


 私はユーフィン司教とチェスラ司教は信じているが、二人の周りは今も信用できないと言いました。バルス教皇も私の考えに賛同してくれたため、リーナ殿や特級ランクの魔石を見つけた洞窟の場所は、今も内緒です。


「直ったな」


 バルス教皇の呟きに、私は宝玉へ視線を向ける。そこには、きれいな宝玉があった。


「力が安定するまで、一日か二日かかると思います」


 宝玉を調べた調査員の言葉に、バルス教皇が頷く。


「君たちのお陰で宝玉は無事に修復された、感謝する」


 宝玉の傍にいた三人の調査員は、バルス教皇の言葉に静かに頭を下げた。


 特級ランクの魔石での修復は、時間がかかった。それは、一気に修復しようとすると、宝玉に負担がかかりヒビが酷くなったからだ。修復しているはずなのにヒビが酷くなった時は、全員が真っ青になったものだ。それからは、調査員が様子を見ながら修復する事になり、時間はかかったが無事に修復を終えられた。


 『女神の祈りの間』を出て執務室に戻っていると、ユーフィン司教とチェスラ司教に声を掛けられた。


「どうかしましたか?」


 私の質問に、ユーフィン司教とチェスラ司教は顔を見合わせる。


「ありがとう。そして、すまなかった」


 ユーフィン司教の感謝と謝罪に、私は首を傾げた。


「私の護衛騎士の不祥事を見つけてくれた事です。調査の結果、アルテト司教の情報も漏らした事がわかりました」


 あぁ、酒に酔って情報を漏らしているのを見つけたのは、私の護衛騎士でしたね。そして酒場で聞き取り調査をした結果、私の情報も漏らしていましたね。


「他に、どんな情報が漏れたのかわかりましたか?」


 私の問いにユーフィン司教は首を横に振る。


「彼は、酒に酔っている間の記憶がないそうです。何度も聞いたのですけど、どの店で飲んだのか、どんな情報を漏らしたのか一切覚えていませんでした」


「そうですか」


「はい」


 ユーフィン司教を見ると、落ち込んでいるのがわかりました。問題を起こした護衛騎士は、ユーフィン司教が身近に置いていた者でしたからショックを受けたのでしょう。


「アルテト司教、ありがとうございました」


 チェスラ司教は私を見ると頭を下げた。


 彼を支持する貴族が、勝手に聖女さまを捜索しているとわかったのは、私の視察先にいたのを見かけたからです。最初は気にしていませんでしたが、私の護衛騎士が聖女さまの捜索をしていると突き止めてくれました。すぐにチェスラ司教に連絡をし、勝手に動いた貴族の当主は教会から除籍されて、彼の子ではなく、妹の子が当主になったそうです。


「他の貴族たちは大丈夫でしたか?」


「はい。監視をつけて見張りましたが、今のところ動きはありません」


 どうやら今回の事で、チェスラ司教は貴族と距離をおいたようです。ようやく、近すぎると危険だと気づいたのでしょう。


「それは良かったです。それでは、私は仕事がありますので失礼します」


 二人に頭を下げ、執務室に向かった。


 執務室のソファに腰を下ろし、フォンが淹れてくれたお茶を飲む。


「宝玉の力が落ち着けば、聖女さまの居場所が判明しますね」


「はい。ようやく聖女さまを迎えに行けます」


 女神さまの神託があってから一年と半月がすぎました。まさか、聖女さまを見つけるのに、これほど時間がかかるとは思わなかったです。ですが、ようやくお迎えに行けます。


 バタンッ。


 急に開いた扉に視線を向けると、ルードスが焦った表情で私の傍に駆け寄った。


「驚かせないでください。剣を抜くところでしたよ」


 フォンを見ると、確かに剣の持ち手に手がかかっている。


「申し訳ない。アルテト司教」


 そっけない謝罪にフォンが顔を歪めるが、彼のただならぬ様子に口を閉じた。


「どうしました?」


「フォガスとキーフェから緊急の連絡です。リーナ殿の周辺に不審者が現れたと。しかも複数人いるそうです」


「そんな!」


 ルードスの報告に、私は思わずソファから立ち上がる。


「まさか、リーナ殿の情報が漏れたのでしょうか?」


「その可能性があるかもしれませんね」


 フォンの言葉に、ギュッと手を握る。


 もし、異端者たちがリーナ殿を狙ったら……。


「フォン、すぐにランカ村に行ってください。そして、リーナ殿と家族を保護してください」


「わかりました」


「ルードスはリーナ殿周辺の調査を徹底的にしてください」


「はい」


 二人が執務室から出て行くのを、祈る気持ちで見送った。


「杞憂であればいいのです。ですが、もしリーナ殿の事が異端者たちに漏れたのだとしたら……」


「私を殺したユーレイは今日もやかましい」を読んでいただきありがとうございます。

103話で「第3章 番外編 王都と教会 」が完結しました。


すみません、第4章に入る前に少しお休みをいただきます。

更新を再開いたしましたら、またリーナたちをよろしくお願いいたします。


ほのぼのる500


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― 新着の感想 ―
> リーナ殿と共にいる精霊さまは、慈悲深い 単に自慢したかっただけです。 それと、フットワーク軽すぎですよ。 こっそり見に行く暇が良くありましたね。 知りたいのは、聖なる力が抜けた特級魔石はどうなる…
宝玉にとって聖なる力は栄養なのかな? 一気に食べたらおなか壊すよね。
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