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神との再会

トーマスを剣の腹で殴ってやろうと思ったら、急に視界が暗転した。

 周囲が真っ暗になり、さっきまで聞こえてきた罵声や声援の声もなくなる。まるで音も光もない真っ暗闇の世界に閉じ込められたようだ。

「わしだ、わし。キリだ」

 いつか聞いた、荘厳な声が再び聞こえてくる。

「お疲れだったな。これまでの試練、どうだった?」

「どうだった、じゃないよ! 何度も何度も死にかけたんだぞ! お前の顔が見えたら一発ぶん殴ってやりたいくらいだ!」

 僕は真っ暗な空間に向かって叫ぶ。

「そうか。それはそうだろうな」

 僕の怒声にもキリは想定内という感じで、軽く返事する。

「だが貴重な体験もできたはずだ。剣を使って戦うなど、お前は元いた世界で普通に暮らしていれば絶対にあり得ん事だぞ? 更に魔法を使った時のあのはしゃぎようはまるで童のようだった」

「見てたのかよ!」

「無論。神は何でもお見通しなのだ」

 ドヤ顔になってるんだろうな、このブラック神様。

「さらにおなごの胸まで揉めたではないか」

 その言葉にグレーテルの胸の感触を思い出す。服越しだったけど、吸いつくような柔らかさと圧倒的なボリューム感。はっきり意識してなかったのが残念だったけど、気持ちよかったなあ……

「人の話無視して妄想に浸るな。キモい」

 心を読まれてる?!

「ではそろそろ本題に入ろう。お前はこの十数日で、数十年分の体験をした。修羅場もくぐった。帰してやってもよいが?」

 帰れる。この世界に来たばかりの僕ならば間髪いれずにイエスと答えただろう。だが、帰れると聞いたとたんにグレーテルの顔が脳裏に浮かんだ。

 帰ると言うことは、グレーテルともう会えなくなるということだ。

 でもお父さんやお母さん、呉羽にも会いたい。

 お父さんと男同士の話がしたい。お母さんの作った味噌汁が飲みたい。呉羽に起こしに来てもらいたい。

「もちろん帰らないという選択肢もある。その選択肢を選べばすぐには帰れないし、もっと危ない目にあうだろう。だが貴様はもっと力を得る。大きな冒険に臨める。グレーテルやフランチェスカ以外のおなごとも交友を深められるだろう。さてどうする?」

 僕は……


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