表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/26

シャドウ・ソイル

新ヒロインの魔法、2番目です。

「シャドウ・ソイル」



 地面を矢と同じ速度で走っていた、矢の影。

 だが影は空中の矢が叩き落とされても速度を緩めずに、地面を走っていた。

そして影が急に地面からせり上がって黒い矢となってオークの喉元に向かっていった。

「急所に一撃! 今度こそ、もらいましたわ!」

 フランチェスカ、それ失敗フラグだ。

 案の定というか当然というか、矢はエリート・オークの喉元に当たっても跳ね返されてしまった。

「……皮下脂肪も筋肉もほとんどない喉に当てても駄目なんて、外皮が固すぎる。作戦でどうにかなるっていうレベルじゃない」

「こいつ、攻撃が通じないんですの?」

 グレーテルもフランチェスカも呆然としていた。けどそんなはずない。どんな無理ゲーでも現実でも攻略法はあるはずだ。諦めたらそこで人生終了だ。

 戦車の装甲でも城壁でも、人類が破れなかった防御はない。あいつだって破れるはずだ。

リスクは大きいけど、やってみよう。

 実際僕にはあいつを倒せる魔法がある。ファイアハンド以上の魔法が。

「フランチェスカ、グレーテル。とにかくあいつの動きを止めて。一瞬でいい。その隙に僕がとっておきを叩きこむ」

 僕は剣を構え直して、エリート・オークと向き合った。

「……ヒロシの付与魔法は、強力だけど……」

 グレーテルは僕に向き直った。

「……でもわかってる? エリート・オークの間合いに入るのが、どういうことか」

「わからないよ。なんでこんな提案をするのか。なんでこんなに怖くないのか。戦闘で気分が高揚してるのかもしれない。それとも……」

 僕は二人を見つめて、言った。

「二人のことを、信じてるからかもしれない」

 心からの本音だった。グレーテルもフランチェスカも命を救ってくれた。この二人と一緒なら、どんな困難にだって立ち向かえる。そんな気がする。

 グレーテルはなぜか僕ともエリート・オークとも違う方向に目を反らし、フランチェスカは戦闘の興奮のせいか顔が真っ赤になっていた。

「……新しい魔法、覚えた?」

 僕はグレーテルの言葉を肯定した。

「さっきまでは足止めができないと思ってたから、言い出せなかった。でも今は違う」

「……それで本当に倒せるって確証があるの?」

 僕はグレーテルの目をしっかりと見て、そしてゆっくり頷いた。理屈を説明している時間はないけど、グレーテルはそれで感じ取ったらしい。

「……わかった。男がそう言うなら、女は信じて見送るのが役目。でもヒロシ、油断しないで。そして…… 死なないで」

 グレーテルは胸の前で手を組みながら祈るように言った。

 僕は訓練通りに雄叫びをあげながら、エリート・オークへ突進した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ