6 雨
「土砂降りやなぁ。」
烏兎が窓の外を見ながら呟く。
雷の音が響く。
篠雨は大丈夫だろうか。
俺が腹減ったと言いまくっていると、「買ってくるから黙れ、しゃべるな!」と言って出ていったが……
烏兎がふいに
「そういやさぁ……」
「?」
「篠雨となんかあった?」
「へ?」
何でだ?
「なーんか妙にピリピリしてるようなしてないような……」
「……」
雷鳴が響く。
俺はぽつりと昨日のことを話す。
烏兎は黙って聞いている。
「ふーん。凰理はさ、篠雨の考えについては怒ってないん?」
「どうかな……正解って色々あるって言われたからな……」
リートと任務をしていたときに言われたことだ。
この組織に入る理由は色々ある。
復讐。
憧れ。
その他諸々人によって理由が違う。
「烏兎はさぁ…緑人ってなんだと思う?」
「えらい哲学的な質問やなぁ……ん〜。まぁ、戦ったことないけど緑人も人間も命やと思ってる。」
「そっか。」
「根本的に篠雨と考えが違うんやろな。何でか知っとる?」
「…知らない。」
…篠雨について何にも知らない。
そういや……新人のとき…任務初めて行ったとき、リートさん色々聞いてきたな。
そのときドアが開く。
傘をさして、少しだけ濡れている篠雨が車に乗り込む。
「あ゙〜クソ。土砂降りじゃねぇか。」
「お!サンキュー!篠雨。」
「はぁ……」
篠雨が疲れたようにため息をつく。
車が動く。
雨の音が響いていた。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
カタカタとパソコンのキーボードの音と、ペンを走らせる音が響く。
パドは作業を止めて窓の外に目をやる。
雷が空で光る。
突然コンコンと部屋の扉が叩かれる。
無言でパドは扉を見つめる。
扉がゆっくり開く。
「残念ながら今日、俺の部屋に誰かを招待する予定はないが。」
パドの目に一人の男性が映る。
「これは失礼。早急にお会いしたかったので。」
スーツの上に黒いロングコートを着ていて、黒い前髪が目にかかっている。
左耳のピアスが雷光を反射する。
男がにこやかに言う。
「はじめまして。ノワールと申します。今回はお話があって参りました。」
ノワールの後ろから黒スーツを着ている大男と、黒い長髪で低身長の女性が現れる。
大男が笑いながら言う。
「なんだこいつ。こんな細長いやつが強いんですか?ノワールさん。」
「ザコ。」
女性が呟く。
パドが目を細める。
「無駄口を叩きに来たのか?俺はぐうたらどうでもいいこと言っているお前らと違って忙しい。」
「へぇ〜。言うじゃねぇか。ザコが。」
「そう言って死んだやつを俺は何人も見てきた。」
雷が鳴る。
パドの琥珀色の瞳が揺れる。
ノワールが静かに言う。
「私の部下が粗相をして申し訳ない。」
「どうでもいい。何の用事だ。」
ノワールの赤い目と琥珀色の目の視線が絡み合う。
雷鳴が響く。




