5 新人!
翌日。
そろそろ来るかな……
俺はドアを見つめながら思う。
篠雨は窓の外を見つめている。
そのときドアが開いて、パドと一人の男性が入ってくる。
男性はバンダナをつけていて、背中に翼が生えている。
パドは無言で壁際に移動する。
男性は部屋の中で立ち尽くす。
「えーっと、このあとどないしたらええんですか?」
困ったような笑みを浮かべて男性が言う。
「任務に行けばいいだろ。」
パドが当たり前のように答える。
「え?何もなしに行くん?組むん初めてやから分からへんねんけど……」
俺は立ち上がって言う。
「え、えっと、鳳宮凰理!よろしく!」
「あ、俺、天城烏兎。よろしく。」
篠雨は何も言わずに部屋を出ていく。
烏兎は首を傾げながら聞く。
「えーっと、あの人も一応組んでるやんな?」
「あぁ。」
パドがあくびをしながら答える。
「置いていかれたくなかったら、とっとと行け。」
「了解〜。」
烏兎は明るく言って部屋を出る。
俺も篠雨たちを追いかけて廊下を走る。
烏兎が篠雨の横に並んで聞く。
「なぁなぁ、名前なんて言うん?」
「霞城篠雨。」
「何でお前が言うんだよ。」
篠雨が俺に言う。
外に出ると真っ青な空に、太陽が光っている。
桜の花弁が地面に落ちる。
「パトロールかぁ。初めてやなぁ。」
車内で烏兎が言う。
俺は助手席から聞く。
「初めて?」
「うん。何なら俺、緑人も倒したことない。」
「めちゃくちゃ新人……」
「任務相手おらんくてなぁ……」
「見つかるまで何してたんだ?」
「医局員。」
「医局員?」
医局員というのは、緑人との戦闘で怪我した人を治療する人だ。
緑人は色々特殊だから、専門の機関で治療する。
俺は治療されたことないけど。あんま怪我してないから。
「じゃあ、戦闘は……」
「戦闘員も医局員もどっちも免許持ってるから大丈夫やで。」
「なるほど。」
篠雨は相変わらず無言で運転をしている。
「そういえば……お前、魔族なんだな。」
「うん。」
魔族というのは人間と違う特徴を持っている人のことだ。
烏兎みたいに翼が生えてたり、角があったり、色々ある。
ちなみに翼がある烏兎は有翼人だ。
「そういえば、篠雨は俺と組むまで何してたんだ?」
シーン。
「おーい。篠雨〜。篠雨さーん?」
無視。
「戦闘員?医局員?教えてや〜。」
烏兎が後部座席から篠雨の肩を叩く。
「うるせぇ、叩くな。」
景色が流れていく。
俺はあくびをしながら言う。
「いや〜腹減ったなぁ。」
「お前結構、朝飯食っただろ。」
篠雨の呆れたような返答に、俺は首を振って答える。
「いやいや、メロンパン6個しか食べてないよ。」
「結構食っとるやないか。」
烏兎が言う。
「普段なら11個ぐらい食べるのに……」
「妙に細かい数字やな。」
「朝ってそれぐらい食べるでしょ!」
「いや〜。俺、朝食欲ないから食べても1個やわ〜。」
「篠雨は?」
「……」
「おーい。篠雨〜。教えてよ〜。」
信号が青に変わった。




