65 瞳
青灰色の目がギョロギョロ音をたてる。
人間と同じ大きさ……!?でも…あいつは……
明里が言う。
「とりあえず、篠雨たちも気になるし…一旦撤退して通信機を回復させよう。行くよ。」
「…わかりました。」
だが、アザミは動く気配がない。
「アザミさん?」
俺は首を傾げる。
大量の目がぎょろりと見る。
アザミを見つめている。
緑人は進行方向を変える。
こっちに…来てる。
「明里さん。他の隊員の救出と避難終わりました。」
突然、恭弥の声が響く。
ビルを上ってきた恭弥と篠雨が立っている。
明里と恭弥が何か話している。
篠雨が駆け寄ってきて、俺に聞く。
「アザミさんは?」
「それが……」
篠雨が言う。
「アザミさん。大丈夫ですか?」
「…あぁ。」
「とりあえず出ましょう。」
「わかった。」
俺たちは走り出す。
緑人たちを恭弥が一瞬で燃やす。
すごい……
アザミが呟く。
「いない…!」
「?」
篠雨が目を見開いて呟くように言う。
「さっきの…巨大緑人……どこ行った…?」
地面も揺れていない。
不気味な静寂が響く。
恭弥が俺を引っ張る。
目の前を枝が通過する。
な…!
アザミの表情の温度が下がる。
『ギュルル』
人型の緑人が声をあげて、アザミを見る。
枝がギュルンと音を立てて、緑の腕に戻る。
全身の青灰色の瞳が動いた。
「ラグ…ナ。」
アザミの呟きとともにラグナが足を踏み出す。
その瞬間、暗い炎がラグナの姿を消し去る。
恭弥が視線をあげる。
ビルの壁にラグナが張り付いている。
いつの間に……!?
恭弥が端的に言う。
「逃げるぞ。」
「は、はい。」
ラグナが異常なスピードで走ってくる。
はっや!
ゴウッという音とともに炎の壁が出来上がる。
明里がニコニコしながら言う。
「恭弥ナイス〜。」
「うるさいです。」
そんな会話をしているうちに、エリアの入口が見えてくる。
よかった……
そのとき、地面が揺れる。
「!?」
さっきの、全身に目がついた四本足の巨大な緑人が、俺たちを見下ろしている。
明里がアザミに聞く。
「ねぇ、アザミ。あの大きいやつがラグナになったり、もとに戻ったりしてたりしない?」
「可能性はある。でも、証拠がなければ予想でしかない。」
「だよね〜。今までそんな事できる緑人いなかったし。」
青灰色の目が縦横無尽に動く。
恭弥が淡々と言う。
「出ますよ。」
「はいはい。」
明里が巨大緑人を見つめながら返す。
秋の風が吹き抜ける。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「桜乃。サボりは感心しないな。」
ベストを着た男性が言う。
「ごめんごめん。」
桜乃はスマホを片手に笑顔で返す。
隣では不機嫌そうな轟刃と、ソフィアがいる。
「碧さん。なんで私たちは置いてかれたの。」
ソフィアが首を傾げる。
碧と呼ばれたベストを着た男性が答える。
「だって、次の舞台のほうがソフィアみたいな、美しいお嬢さんにはピッタ。」
言い終わる前に、碧が後ろから殴られて転倒する。
ノワールが無表情で、
「ソフィアを口説くのはやめてください。」
と言う。
「残念残念。綺麗なお嬢さんだというのに。」
碧は立ち上がって歩き出す。
桜乃もスマホをしまい込む。
夜が来ている。
おにぎり食べたい




