14 休日は仕事
「やれやれ、仕事が増えそうだ。」
明里が肩をすくめて言う。
壁の向こうから、わずかに大きな足音が聞こえる。
ラグナ…一体なんなんだ?
明里が言う。
「さぁてと。凰理くん、篠雨。疲れただろうし後は任せて。休日が潰れちゃったし、パドに適当に言って、
増やしてもらうようにするよ。とりあえずは終わ…」
「終わってません。」
恭弥の一言に明里が首を傾げる。
恭弥がため息をついて言う。
「休日中に『緊急。』だとか言って呼び出した挙句、緑核体数十匹と戦闘させて、ラグナは出てくる
し……」
「ごめんごめん。」
じーっと見つめる恭弥の視線を無視して明里が俺に言う。
「迎えの車呼ぶから待ってて。」
「あ、はい。」
アザミが疲れ切ったのか地面にしゃがみ込んでいる。
「大丈夫ですか…?足とか……」
「大丈夫だ…」
大丈夫じゃなさそうだな。
篠雨が俺の肩を叩く。
「?」
「車来たぞ。」
「あ、わかった。えっと、アザミさん。また!」
「……あぁ。」
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「ウラたちと戦いたかったのに。」
レインは不満げに言う。
「そのために全員で行ったんっすか!?」
ハルの驚きの声に、ボクは平然と答える。
「半分そう。」
「そうっすか…」
少し呆れ気味のハルを横目に見ながら言う。
「あとは紫電がどこまで通用するか。かな〜。」
「?」
「簡単に言えばお試しかな。今日は。」
夜の街を軽い足取りで歩く。
あやめが言う。
「ねぇねぇ、早く帰って、白夜の夕飯食べようよ〜。」
「わかったって。」
歩調を速める。
あの組織は。
魑魅魍魎が渦巻いている。
気づいているやつもいるし、ずっと知らないやつもいる。
そっから這い上がっておいでよ。
凰理。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「何か…大変やったんやなぁ。」
烏兎がお菓子を食べながら言う。このお菓子は佐竹がさっき持ってきた。
「なんか…俺たちの休暇ってよく潰れるよなぁ……烏兎は何してたんだ?」
「俺も、人手が足りんからって医療局で仕事しててん。」
「全員仕事してたのか……」
篠雨がふと思い出したように言う。
「そういえば、今日副隊長来るって言ってなかったか?」
「うっ…忘れてたのに。」
「知るか。」
俺はバッと立ち上がって言う。
「よし!出くわす前に逃げよう!!」
「お、おう。」
困惑気味に烏兎が返事をする。
そのとき。
コンコン。
「……?」
ドアが開く。
「誰から逃げるってぇ〜?」。
篠雨が舌打ちをする。
長い黒髪。鼠色の瞳。
女性はカツカツと部屋に入ってきて、烏兎に言う。
「やぁ〜新人クーン。」
「え、あ、はい。」
「僕、九条月〜。お兄ちゃんとごちゃごちゃになるから、九条副隊長はやめてね?」
「はぁ…」
「篠雨くん、久し。」
「帰れ、消えろ。」
「こわーいよ。凰理くんも元気そうだねぇ〜。」
「……」
烏兎がボソリと呟く。
「なんか気まず……」




