63 白銀
なんで…明里さん余裕そうなんだ?
そのとき、緑人の巨大な悲鳴が響く。
ゴォッと言う音とともに、暗い暗い色の炎が俺たちを囲む。
燃え上がった緑人がうめき声をあげて、灰になって消えていく。
動かなくなった緑人の焼け野原の中、一人の男性が現れる。
白い髪。長い前髪がかかっていて左目は見えない。右目の深緑の瞳が俺たちを見つめている。
男性は真っ黒な服を揺らして歩いてくる。
美形だな……
男性がしかめっ面で明里に言う。
「呼び出しておいて何ですか。これ。」
「まぁまぁ。細かいことは置いといて。」
「置いとけません。」
ん?この声……
聞き覚えのある声。
あの黒いパーカーの謎の男性と…声が同じ……?
明里が言う。
「さてと、他の隊員もバラバラに飛ばされたみたいだし…救助に向かわなきゃね。恭弥は篠雨と救助。凰理
くんは私についてきて。小春ちゃんは…頑張って恭弥についてって。」
「は、はい……」
恭弥と呼ばれた男性はチラリと俺を見る。
一瞬、目が合う。
吸い込まれそうな深緑が俺を見ていたが、視線をそらすと走り出す。
篠雨と小春も追いかけて走り出す。
明里が言う。
「さてと、行こうか。」
「はい!」
…どこに?
「どこに行くんですか?」
「ん?さっきのところ。」
「あの塊があるところですか?」
「うん。」
何で行くんだ…?連絡とか急いだほうがいいんじゃ……
「確認したいことがあるんだ。」
明里はそう言うと、走るスピードを早めた。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「思ったより侵入…簡単じゃない?」
「緑人が逃げ出すのを防ぐのに特化してるからね。それに、彼の前に頑丈な警備は役に立たない。」
レインは後ろを歩くあやめにそう言いながら、空を見上げる。
少し傾き始めた太陽を見ながら歩く。
ハルが聞く。
「全員で行くような強敵がいるんっすか?」
「う〜ん。そうだね〜。」
レインは足を止める。
「到着〜。じゃ、仕事しようか。」
レインは腕を隣に立つ人物の肩に置く。
冷たい風が吹き抜けた。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
冷たい風が吹き抜ける。
明里がため息をつく。
「予想外ばかりで嫌になるね。」
凰理は拳を握りしめる。
目の前にアザミ、ノワールたちに……リゼに初めて会ったときにいた女性?……レインとハル、この前の剣士と知らない女性。そして……
白銀の髪が揺れる。
紫電。
アザミが紫電を見つめているが、紫電の反応はない。
眠があくびをしながら、なぜか紅茶をすすっている。
レインがニコニコしながら言う。
「いいねいいね。三つ巴。久々にウラたちとも戦えるわけだ。」
ウラと呼ばれた女性も微笑を浮かべて言う。
「ずいぶん自信があるようね。」
ピリピリした空気が金属音とともに断ち切られる。
ナイフが地面を転がる。
いつの間にか、現れた紺色のベストの男性がナイフを片手に、残念そうに言う。
「防がれてしまったね。」
紫電の刀が白く光る。
いつ抜いたんだ……!?この一瞬で…ナイフを……
冷たい寒気が走る。
すみれ色の目が俺を見る。
刀が光る。同時に銃声が鳴る。
甲高い音が響く。
炎帝と刀がギリギリと音を立てる。
防げ…た。
紫電の頬に赤い線ができている。
銃弾がかすったらしい。
アザミの手に握られた銃が陽光を反射する。
撃ったのか……
そのとき、紫電がスッと刀を下ろす。
奇妙な空気が流れる。
紫電は頬の赤い線をなぞる。
アザミを見る。
そして笑った。
眠い(唐突)
11/3 一部修正しました。




