62 到来
アザミは無言で俺を見つめていたが、微笑を浮かべて言う。
「なら、俺もこれの解析を進めないとな。」
「…!手伝います!」
明里が言う。
「意気はいいけど…どうやって?機材運び終わっちゃったけど。」
「うっ…」
「凰理くんには周辺の警備頼んでいいかな?」
「わかりました!」
俺は歩き出す。が。
グイッと引っ張られる。
「うおっ!」
「お前の警備場所はこっちだ。」
聞き覚えしかない声。
「し、篠雨…。」
「よう。」
もしかして…
「忙しいって…このことだったのか……」
「あぁ。行くぞ。」
「りょーかい。」
そのとき、篠雨が足を止める。
「どうかしたか?」
俺は篠雨の視線の先に目を向ける。
ざぁっと風が吹く。
薄灰色の髪と黒髪が揺れる。
鎖鎌を持った眠とノワールが立っている。
いつの間に…!!
明里が通信機に手を当てた瞬間。
眠が呟く。
「さよなら。」
指を鳴らす音が響いた。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
アザミは緊張で汗ばんでいる手を握りしめる。
誰もいなくなった空間でただ一人、ノワールと眠を見つめる。
その隣にはいつの間にか、アフタヌーンドレスを着た女性が立っている。
全員…どこに……
女性がニコリと笑う。
「ほかのみんなは無事よ。どうもはじめまして谷崎アザミ。私はウラ。よろしく。」
張り詰めた緊張感の中、パチンとウラが指を鳴らす。
フッと、白いテーブルと椅子が現れる。
「せっかくだから、紅茶でも飲みながら話したいのだけれど……あなたは嫌かしら?」
「……」
眠はさっそく椅子に座って、膝に顔を埋めている。
「それにしても、周りが花畑だったらいいのに……廃都市なんて…」
残念そうに言うウラにノワールは淡々と返す。
「仕方ないでしょう。それよりも早く話を進めたほうがよろしいのでは?」
「そうね…」
ウラが微笑を浮かべて聞く。
「あなたなら知っていると思うのだけれど……ラグナの体はどこにあるのかしら。」
「…答える気はない。」
「ふふっ…当たり前よね……今…あなたのお仲間はどうなっているかしら。」
「…!」
小春や凰理のことを思い出して、拳を強く握る。
「簡単に言えば人質かしら?」
ウラが笑う。
「答えてくれる?」
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「参ったねぇ〜。」
明里がのんきそうに言う。
目の前には、大量の緑人がいる。全部緑核体。
凰理は炎帝を構えながら周りを見渡す。
抜け道……ないのか?
俺の隣で小春が言う。
「つ、通信機通じませぇぇん!」
「またか…」
篠雨がため息を吐く。
明里がニヤリと笑う。
「今度アザミに性能がいいの作らせなきゃね。」




