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GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD Ⅲ
58/66

58  休日は…



翌日。


「やっぱ、烏兎の家、綺麗だよなぁ〜。」


俺は部屋を見渡す。


「ん?そう?」


「だってちゃんと片付いてるし。」


「お、おう。」


窓際に置かれた一本の白百合が花瓶に差してある。


烏兎が椅子に座った俺に聞く。


「で、いきなり来てどうしたん?」


「いや〜。今日仕事休みだから、暇ならどっか一緒に行こっかな〜って。」


「なるほど。」


「篠雨も誘うつもりなんだけど、先に行き先、決めたほうがいいかな〜って思ったんだけど。」


「確かにこの前、ことごとく篠雨に却下されてたしな。」


「どこ行こっか…。」


「平日やからあんま混んでないはずやな。」


沈黙。


「なんやろ。何言っても…篠雨に却下されそうな気がする……」


「確かに…よし!本人に聞こう!」


「結局そうなんねんな…」


インターホンを押す。


ピンポーン。


数秒後。ドアが開く。


篠雨が顔を出す。


「……」


「……」


烏兎がぽつりと言う。


「髪くくってないから誰かと思ったわ……」


「うるせぇ。」


篠雨がため息をついて言う。


「何の用だ。」


「どっか行こ!!」


「行かねぇ。」


即却下された俺は固まる。


「え!?何で!??」


「忙しい。」


「休日だよ!?」


「忙しい。今度にしろ。」


「…わかった……」


パタンとドアが閉まる。


「……」


俺は固まったまま、烏兎に顔を向ける。


「えっと…どないしよっか。」


「篠雨…今日、暇じゃなかったのか……」


「そやな…」


そのとき、烏兎がスマホを取り出す。


バイブ音が響いている。


「電話?」


「うん。」


通話ボタンを押して、烏兎が何か話している。


ん〜。どこ行こっかな……。


そのとき、烏兎が申し訳なさそうに言う。


「なぁ…ごめん。俺も急用できたわ……」


「え…」


「ごめんな…」



・・・・・***・・・・・***・・・・・



「パドさん!俺暇です!」


ブチッと電話が切れる。


「あれ?」


俺は急いで掛け直す。


「ちょっと切らないで下さいよ!!」


『だったらまともな理由で電話をかけろ。』


「だって、暇なんですよ。」


『じゃあ、仕事するか。』


「それは嫌です!」


『注文が多いな。』


少しの沈黙のあと、パドがため息をついて言う。


『手伝ってほしいことがある。』



・・・・・***・・・・・***・・・・・



「鳴朝さんのバイクかっこいいですね〜」


「ん?あ〜もらったやつさ。」


「へ〜。で…ここどこですか。」


「えっと、研究施設。」


「研究?」


目の前の大きな白くて四角い建物を見て、首を傾げる。


鳴朝はスタスタと歩き出す。


パドさんに『鳴朝の護衛。』って言われて来たけど…鳴朝さんは何の用なんだ……?てか、結局仕事するこ

とになったな……


鳴朝は慣れているのか、警備員に話しかけ、施設の中に入る。


俺は鳴朝を追いかけながら、施設の中を見渡す。


真っ白な廊下を、窓から差し込んだ陽光が照らしている。


壁には等間隔に白いスライドドアが並んでいる。ほのかに薬品の匂いがして、いかにも研究施設という感じだ。


鳴朝が一つのドアの前で立ち止まる。


在室と書かれたプレートがぶら下がっている。


鳴朝が扉をノックする。


数秒の沈黙。


ガシャーン!!


「!?」


何だ…!?


ドン!ガタッ!


騒音のあとカラリとドアが開く。


「こ、こんにちは〜。」


眼鏡を掛け、ボサボサの黒髪ロングの女性がにこやかに言った。




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