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GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD Ⅲ
57/64

57 千景



「副、隊長…!?」


何で第五支部の副隊長が……!??


しかも…パドさんの友達と……苗字が同じ…


伊織は静かに言う。


「案内していただけますか。」


「えっと、わかりました。」


パドさんは…多分部屋にいるはず。


そのとき声が聞こえてそっちに視線を向ける。


あ、九条とパドさん。


「あの!パドさん!」


「?」


「この人がパドさんを探してて…」


千景がパドに言う。


「お久しぶりです。」


「…そうだな。連絡もよこさずいきなり何の用だ。」


千景は深呼吸をして、一言言う。


「鳴朝に会いに来ました。」


「……」


日が暮れ始めている。


パドは沈みゆく太陽に視線を向けて言う。


「鳴朝なら…いない。」


「でも、狙われてるとかで一時的にここにいるんでしょう。」


そのとき九条が大声で言う。


「は!?鳴朝いるのか!?ここに?報告受けてねぇぞ!!?」


「うるさい。」


千景の瞳を見つめていたパドが、ぽつりと言う。


「今はいない。…別日に来い。」


「嫌です。」


「……」


何だ…?


九条がパドの肩を揺らしながら言う。


「ど・う・い・う・こ・と・だ!鳴朝はどこだ!!」


「今はいないと言っただろ。」


「どこにだ!」


「明里に連れてかれた。場所は知らん。千景も探すなら明里に聞け。」


パドはスタスタと歩きだす。


九条が騒いでいる中、千景の声が響く。


「あんたらみんな変だ……!」


九条が黙り込む。


パドが立ち止まる。


木々がざわめく音が聞こえる。


「何でそんな平気なんですか?おかしいですよ。なんで…あいつだけ……!」


血走った蓬色の目に寒気がする。


千景は続ける。


「息吸って、飯食べて。なんで、なんで…!あいつは……鳴朝は。」



「普通に…生きてるんですか!」



静寂。


風の音だけが聞こえる。


千景が口を開きかけたとき、聞き覚えのある声が響く。


「じゃあ、死んでほしかったのか?」


黒いパーカーの男性が隣に立っていることに気づく。


いつの間に……というか、この人…烏兎の見舞いに勝手に行ったとき……助けてくれた…


千景が男性を睨みつける。


男性は淡々と聞く。


「睨んでないで答えたらどうだ。」


「…それは……」


千景は言葉に詰まってうつむく。


男性が冷たく言う。


「何も考えていないのに無責任なことを喋るな。騒いでないで帰るぞ。どっちにしろ本人はいない。」


「帰るかどうかは俺が決めることで……!」


「じゃあ、お前のとこの隊長がお呼びだ。とっとと帰れ。」


千景は黙っていたがポツンと言う。


「また来ます。」


千景の背中が遠ざかる。


パドが疲れたように息を吐き出す。


男性がさり気なく帰ろうとしたとき、九条が言う。


「おい。」


「……」


「久しぶりだな…会ってそうそう挨拶もなしか……」


九条が拳を握って言う。


「今度こそお前をぶっ殺す……」


なんだ…九条のこの待ちに待ったみたいな……雰囲気…


男性は淡々と返す。


「殺人罪で牢に放り込まれたいなら好きにしろ。」


「…!あのな…俺は……」


パドが言う。


「あいつ、聞いてないぞ。」


「!おい!帰ろうとするな!待ちやがれ!!」


九条が走り去っていく。


風が走り去る。


俺はためらいがちに聞く。


「あの…パドさん。」


「詳しいことは言えない。もう日が暮れる。早く帰れ。」


「…わかりました。」


俺は歩き出す。


散歩は…もういっか。明日仕事休みだし。


黒いパーカーの人…一体誰なんだろ。九条ともあの副隊長とも知り合いみたいだけどな……


副隊長が言ってた…さっきのあれは何だったんだ?


橙色に染まった空を静かに見上げる。


「明日何しよっかな……」



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