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GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD Ⅲ
55/60

55 九条迅



風が吹いて烏兎が


「寒っ!」


と呟く。


篠雨が呆れ気味に言う。


「まだそんな寒くねぇだろ。」


凰理は二人に聞く。


「あの…聞いてた?俺の話。」


「え?聞いてたで!パドさんとパドさんの友達の話。」


「お、おう。ていうか、斗花は泣き過ぎじゃない?大丈夫?」


「だって…!悲しいじゃないですか!」


「いや、うん…。」


悲しいけど…泣きすぎ……


篠雨が言う。


「その話パドさんから聞いてきたのか?」


「え、うん。」


沈黙。


気まずい雰囲気を変えたいのか、烏兎がきょろきょろしている。


そのときパドがひょっこり現れる。


「あ…パドさん。」


「凰理。悪い話と悪い話どっちが先に聞きたい。」


「それ、どっちも同じじゃないですか!」


「そうだな。」


「何の話ですか…」


「隊長が明日出張から帰ってくるらしい。」


「……」


烏兎が「隊長?」と首を傾げている。


隊長というのは、簡単に言えば偉い役職。日本の数カ所にある支部をまとめている人のことだ。


俺たちのいる第六支部も、とある隊長がまとめているのだが……


パドの後ろから声が響く。


「パド。予定繰り上げで今日帰ってきたぞ。」


低い声。


少し乱れた黒髪。


鼠色の瞳。


第六支部隊長。


九条迅(くじょうじん)がそこに立っている。


烏兎がのんきに「あの人誰?」と言っている。


カツカツと足音を鳴らして、九条はパドの前に立つ。


「おい。パド。俺がいない間ちゃんと仕事やってたんだろうなぁ?」


「あぁ。」


「返事が小さい。」


「聞こえるなら問題ない。」


「てめぇ!俺は隊長だぞ!」


「俺は年上だ。」


「お前…!」


篠雨が興味なさげに飴を口に放り込む。


九条が篠雨を指差してパドに言う。


「というか、なんで明里の子供がこっちに異動してんだ!」


「知らん。人事部に聞け。」


「そこの有翼人はあいつに似ててムカつく!」


「俺に言われても困る。」


「うるせぇ!」


「君の声のほうがうるさいよ〜。」


九条がゆっくり振り向く。


後ろでリートがクッキーを食べながら立っている。


「お前海外出張…」


「もう終わったよ。いつの話をしてるのさ。」


「この野郎…!」


「リートさん。喧嘩売らないでください。」


佐竹がため息をついて言う。


斗花が疑問で一杯の表情をしている。



そして、九条が俺を指差す。


「というか!こいつはいつクビになるんだ!」


「え?クビ!?」


斗花が慌てたように言う。


烏兎がボソリと「なんかやらかしたんか…?」と呟いている。


パドが無表情で返す。


「別にクビになるようなことしてないだろ。」


「俺に敬語使わない上に、言い返すんだぞ!上司に敬意を払わないなんぞ…」


俺は思わず大声で言う。


「死んでもお前なんか敬意払わな…!」


「俺は上司だ!」


「知るか!」


斗花が驚きに表情で俺を見る。


烏兎が呟く。


「え…なんで……?」


リートがニコニコ笑顔で補足する。


「この二人、めちゃくちゃ仲悪いんだよね。」


「九条隊長は基本的に色んな人と仲悪いですよ。」


篠雨の余計な一言に九条が大声で言う。


「お前もクビだ!」


「俺をクビにしたいなら明里さんに言って下さい。」


「うるせぇ!隊長権限でクビだ!!」


「その管理をするのは人事部でお前じゃないぞ。」


「黙ってろパド!敬意払わないならクビだ!」


「じゃあ、俺たちと隊長格は全員失業だな。」


「黙ってろ!」


「なら話を振るな。」


拳を握って顔を真っ赤にしている九条の隣で、佐竹はため息をついた。


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