47 それぞれの時間
ものすごい面倒くさそうな表情のパドが、ベッドの上で凰理を見ている。
俺はボロボロ泣いていた。
篠雨が
「泣きすぎだろ。」
「だって、パドさん撃たれたし…めちゃくちゃ不安だったんだよ……」
「あんま泣きすぎると、パドさんが困るさ。」
鳴朝がりんごの皮を剥きながら言う。
パドが呆れたように言う。
「泣きすぎだ。そこまで心配しなくても……」
「いやいや!心配しますよ!!」
「声が大きい。ここは病院だぞ。」
「…すいません。」
「はぁ…」
パドはため息をつく。
鳴朝が明るく言う。
「りんご剥けたさ。」
「……お前時々空気読めないよな。」
「あ、えっと…ごめんなさい?」
パドが呆れ気味にりんごを受け取る。
しばらくして鳴朝が言う。
「長時間はパドさんも疲れると思うし、そろそろ帰るさ。」
「わかりました!」
俺たちは歩き出す。
そのときパドに呼び止められる。
「凰理。」
「はい?」
「…相手には……紫電もいる。」
「……」
「だから…無茶だけはするな。」
「…はい。」
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「鳴朝さん。用事あるから監査局本部で降ろしてほしいんですが。」
車の中で篠雨が言う。
「りょーかい。」
俺はあくびをしながら聞く。
「何の用事だ?」
「色々。」
「それ答えてないじゃん。」
「別にいいだろ。」
「ていうか…斗花はリートさんと何やってるんだろ。」
「さぁな。」
車が止まる。
気づけばセミの声が聞こえなくなっている。
「ありがとうございます。」
「いいよ〜。帰り迎えに行ったほうがいいさ?」
「大丈夫です。ありがとうございます。」
「了解。またね。」
篠雨の背中が遠ざかる。
俺はポツリと呟く。
「烏兎とパドさんはいつ退院するんだろ。」
「パドさんは3週間ぐらいさ。烏兎くんはわからないけど。」
「そうですか…」
夏が終わろうとしている。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
コツコツと足音が響く。
一つの部屋のドアを開けると、中に明里がいた。
「やぁ、篠雨。大丈夫そうで何より。」
「はい。お見舞いありがとうございます。」
「忙しくてあまり行けなかったけど。元気そうだ。」
「はい。」
「じゃあ、報告頼むよ。」
篠雨は書類を置く。
「紫電さんが遭難したときの関係者全員の名簿です。」
「OK。ありがとう。」
「調べたところ怪しい人物はいません。」
「そっか。じゃあ、”例の件”は?」
「…それはまだ……」
「大丈夫だよ。あくまであれは可能性だから。」
「でも、この状況になってくると……」
「可能性はいいにくいね。引き続き頼むよ。」
「はい。」
「このあとお茶でもするかい?」
「いえ。資料室で少し調べてから帰ります。」
「了解。またね。」
篠雨は静かに部屋を出る。
明里は静かな部屋でパソコンを開く。
キーボードを叩く。
時計の針が動いていく。




