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GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD Ⅱ
43/61

43 決意



俺は天井を見つめる。


昼斗たちは帰り、篠雨は寝ている。


俺はポツリと呟く。


「何にも。できなかったなぁ……」


あのゾッとするようなすみれ色の瞳を思い浮かべる。


血飛沫の光景が目に焼き付いている。


守れなかった。


一撃を防ぐこともできなかった。


篠雨はすごいな……一撃…防いでたし、銃弾にも気づいてた。


斗花は篠雨を助けた。


烏兎も緑人になりそうだった人を助けたし。


篠雨の寝息がかすかに聞こえる。


「俺…何も……できてない。」


カタン。


「?」


何かの衝撃で落ちたのか、俺のカバンに入っていた炎帝が床を転がる。


炎帝を拾い上げる。


俺は炎帝を見つめる。


「強く…なる。」


もっと。次は絶対……


炎帝が夕日の光を受けて橙色に染まっている。


カバンに炎帝をしまう。


俺はゆっくり、床に足をつける。


烏兎…どこだろ。


起きたのかな……?


不安な気持ちを抱えたままスリッパを履いて歩く。


廊下に出る。


パドさんは集中治療室とかにいるのかな……


暗い気持ちで歩いていると看護師さんに呼び止められる。


「鳳宮さん?」


「うっ……」


「病室は向こうですよ。」


「いや…」


「安静にしてて下さい。」


「あの…烏兎に……」


「今はできません。あなたも怪我してるんですから。」


「えぇ…あの、オネガイシマス!」


「無理です。」


どうしよ……


突然知らない男性の声が聞こえる。


「そいつと見舞いに行っていいか?」


「?」


黒いパーカーを着た男性が俺の隣にいつの間にか立っている。


フードで顔はよく見えない。


「お見舞い…ですか?」


「あぁ。天城烏兎の。」


「えっと…」


「親族だ。さっき面会許可もらった。」


「そうですか…ですが、鳳宮さんにはまだ安静に……」


「俺が付き添う。それでも無理か。」


看護師さんは困ったような表情をして言う。


「…少々お待ちください。確認してきますね。」


俺はパチパチと瞬きをする。


「えっと……」


男性は無言で立っている。


しばらくして看護師さんが戻ってくる。


「お待たせしました。担当者に確認したところ、短時間ならいいそうです。ですが、鳳宮さんも怪我をなさ

ってるので、無理はしないでくださいね。」


「はい!」


俺たちは歩き出す。


この人…誰だろ。


「えっと…ありがとうございます。」


男性は無言で頷く。


しばらく進むと男性が一つの病室の前で止まる。


カラリとドアが開く。


機械が置かれている中、ベットに人工呼吸器をつけた烏兎が寝ている。


規則正しい電子音が聞こえる。


よかった……


無事なのは知っていたが、やっぱり少し不安だった。


男性はじっと烏兎を見つめていたが、持っていた袋を椅子に置くと言う。


「…俺が来たことは誰にも話さないでほしい。」


「えっ…?わ、わかりました……」


「ありがとう。」


静かな空間の中、男性は歩き出す。


「俺はもう行く。お前もそろそろ戻れ。」


「えっ、あ、はい……」


黒い背中が消えていく。


誰だったんだ……?


ピッ。ピッ。ピッ。


と音が響く。


俺は烏兎を見つめる。


「俺…強くなるから。今度はちゃんと……守り切る。」


沈黙だけが返ってくる。


「早く…起きろよ。みんな…心配してるからさ……」





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