42 戦いのあとで
「しん…でる……?」
凰理は驚きの声をもらす。
「そう。…まぁ、正式には行方不明かな。」
リートは淡々と続ける。
「親友を助けようとして雪山で遭難して…そこから……」
その先は言葉にならなかった。
リートは立ち上がる。
「このあと紫電のこととかで会議があるから、そろそろ行くよ。鳴朝もフレン一人で留守番だし、帰りな。」
「分かったさ。」
鳴朝とリートが部屋を出ていく。病室に沈黙が流れる。
そのとき、シャッと俺の横のカーテンが開く。
「うおっ!びっくりしたぁ……」
篠雨が眠そうにベットに体を起こしている。
「隣だったんだ。」
「あぁ。今起きた。」
「ていうか…髪長いな。」
篠雨の髪が長くてくくっているのは知っていたが、思ってたより長い。
「何で伸ばしてるんだ?」
「切るのがめんどくさい。」
「おしゃれのためとかじゃないのか……」
篠雨が髪をくりながら言う。
「で、リートさんたちと何の話してたんだ。」
「ちょっとだけ聞いてたんだ。」
「あぁ。」
「…えっとな……」
俺は紫電のことを篠雨に話す。
篠雨は無言で聞いていたがぽつりと呟く。
「そうか。」
「…どう……思う?」
「…一番最初に思いつくのは魔法で操られてるとかだな。」
「そっか。そういう禁止されてる魔法あるもんな……レインってやつら何なんだろ。リートさんと知り合い
みたいだったけど……」
「リートさんに聞くしかねぇな。」
髪をなんとかくくった篠雨があくびをしながら言う。
篠雨の頬の絆創膏に俺の傷が痛む。
そのとき篠雨がジトーっと俺を見る。
「なんだよ。」
「あのな…俺が怪我したのはお前のせいじゃねぇんだから、その申し訳なさそうな顔すんな。気持ち悪
い。」
「え!?そんな顔してる!?てかひどくない!!?」
「うるせぇ。」
「そういえば烏兎は?」
「さぁな。お前の隣で寝てんじゃねぇか。」
「それで違う人だったら気まずいんだけど。」
「知るか。」
そのとき声が聞こえる。
「どうかした?」
「うわっ!」
突然の昼斗の声に俺は驚く。
昼斗がぼーっと立っていて、夏帆がため息をついている。
日月と朔羽もいた。
「え!お見舞い!?」
「そうよ。今度はいったいどんな無茶したの……」
夏帆がため息をつきながら言う。
日月が俺の手に「どうぞ。」とそっけなく言ってりんごを渡してくる。
「えっ!マジ!?ありが……」
「声が大きい。」
篠雨にバッサリ言われて俺は黙り込む。
朔羽が呆れ顔をしている。
俺は昼斗に聞く。
「なぁ、烏兎は?」
「烏兎は…重症だったから別の部屋。パドさんも。」
「そっか……」
「…相手が紫電さんなら仕方ないと思う。」
「……」
朔羽が聞く。
「その…紫電って人、僕も名前は知ってるけどどういう人なんだよ。」
昼斗が椅子に座って言う。
「…会ったことないから聞いた話だけど、組織の中で最強って言われるぐらい強くて、『鬼神』って呼ばれて
たらしいよ。」
「…そうなのか……」
蝉の声が響く。




