40 増援
斗花を見てハルは笑う。
「じゃあ、申し訳ないんっすけど……」
ハルが銃口を向ける。
「さよならっす。」
そのとき、ビッとハルの頬に切り傷ができる。
投げられた刀が転がる。
篠雨が血まみれの姿で膝をついている。
ハルが言う。
「もう限界でしょ。やめといたほうがいいっすよ。腕の捻挫も治ってないんっすから。」
「うるせぇ……」
長髪の男が刀を抜く。
マズイマズイ。立たなきゃ。早く早く……
体から血がこぼれる。
そのとき。
スタッと長髪の男の横に黒い影が降り立つ。
長髪の男はとっさに刀を向けたが刀が宙に舞う。
あれは…ナイフ……
全身黒い服に包まれた人物は、ハルにナイフを投げる。
ナイフが宙に舞う。
白銀の男性が刀でナイフを弾き飛ばしていた。
黒い服の人物は驚いたように固まっている。
そのときヒュッとハルが持っていた、パドのスマホが宙を飛ぶ。
昼斗が冷たい目で、ハルを見ている。
ハルは悠長に言う。
「スマホ取られちゃったっすね〜。」
「次から次へと…曲者め。」
長髪の男が刀を構えたとき、複数の足音が響く。
吹き抜けになっている上の階の手すりの上に。柱の後ろから。
複数の男女が現れる。
横から声が聞こえる。
「凰理…!」
「リートさん…パドさんを……」
「分かってる。」
突然明るい声が響く。
「囲まれちゃったなぁ〜。」
白髪の男性が伸びをしながらハルの横に立っている。
いつの間に……!?
「レインさん!」
ハルが嬉しそうに言う。
レインは口角を上げて言う。
「久しぶりだね〜。リート。」
「…てっきり死んだと思ってたよ。」
「いや〜。ボクもあれはやばいと思ったよ〜。」
知り合い……?
レインが白いボールを取り出しながら言う。
「さてと。周りは強者のオールスターだし、帰らせてもらうよ。」
白いボールが地面に転がる。
リートが一歩踏み出したと同時に白い煙が視界を覆う。
煙の中に垣間見えたすみれ色の瞳を最後に俺の意識はかき消えた。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
煙の晴れた空間に、ドタバタと救命士や警察が入ってくる。
最後の一体に刺さったナイフを全身黒い服の人物が抜き取る。
倒した緑人の血液が広がっている。
パドや烏兎が運ばれる。
篠雨も気を失ったらしい。
全員危険な状態……
リートは拳を握りしめる。
黒い服の人物がため息をついてリートの横に歩いて来る。
鳴朝の小さな声が聞こえる。
「まさか…またこの服着ることなるとは思ってなかったさ……」
「君の戦闘服ね。懐かしいよ。」
鳴朝の表情はフードで見えない。
昼斗は斗花に駆け寄って何か喋っている。
リートは鳴朝に言う。
「信じたくないから言わないのかい?」
「……」
「私も…信じたくないけどね。」
最後に見た白銀の髪を思い出しながら言う。
「さてと。…好き放題やってくれた分、きっちり返さないとね。」




