3 パトロール中
リートの手から糸が消える。
電柱から飛び降りると軽やかに着地する。
やっぱ強いな……
リートが今使っていたのは、魔法。魔力を動力源に使う力だ。
「やっ、篠雨久しぶり。」
「お久しぶりです。」
俺は首を傾げて聞く。
「知り合いなんですか?」
「まぁね。」
「へぇ〜。」
俺は緑人のそばに立って手を合わせる。
リートが篠雨に言う。
「変わらないね。あの子は。」
「そうですか。」
「君はやらないのかい?」
「正直、共感できません。元が何であれ、もうあれは化物です。」
「そっか。まぁ、正解なんて人それぞれだからね。」
「リートさんはどうなんですか。」
「私は凰理と同じかな。化物だからと正当化されても、私たちは殺人者だよ。」
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「話って何ですか?」
俺は篠雨と黒いソファに座って、リートに聞く。
「実は私、しばらく出張で日本にいないんだ。」
「え?じゃあ俺、誰と任務するんですか?」
以前はずっとリートと行動していた。今回は用事があるということで、篠雨と任務だったわけだ。
この組織では一人で任務をするのはダメなのにどうするんだ……?
リートが答える。
「今回はテストさ。篠雨と凰理が合うのかどうか。」
「え?じゃあ……」
「明日から、篠雨と凰理二人で任務だよ。」
「え!そうなんですか!よろしく篠雨!」
「何でお前となんだ!」
「まぁ、いいじゃん!」
「こっちは迷惑だ!」
リートの隣に座っていた佐竹が言う。
「本当に大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫。」
篠雨が不機嫌そうに部屋を出ていく。
佐竹も「仕事があるので。」と言って出ていく。
「いや〜。あのデカい緑人倒すなんてリートさんはやっぱりすごいですね。」
「そうかい?」
「そうですよ。」
「そっか。」
リートは他の人から見れば中1ぐらいに見える。
なのに篠雨が驚かないのは、知り合いだからと、リートさんが有名だからだろう。
リートの先祖は魔神の血縁者だ。
魔神の血縁者は不思議な力を持つ。
それが理由でこの姿になっているらしい。
窓の外を一枚花びらが落ちていった。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
「眠い……」
ベンチに寝転びながら俺は呟く。
隣では、篠雨がおにぎりを頬張っている。
あれから数日。
リートは海外。俺たちは任務をこなしていた。
「そろそろ行くぞ。」
「え〜もうちょっと……」
「行くぞ。」
「りょーかい……」
車に乗り込む。基本的に篠雨が運転で俺は助手席に座る。
俺たちの仕事は二つ。
各地にある、エリアの監視。
エリアというのは、緑人の巣がある場所だ。
その周りは緑人の出没が多いから、壁などでぐるりと囲んでいる。
もともと町だった場所に巣ができたりしている。
これが世界各地にあるのだから困ったもんだ。
二つ目が……
「大丈夫そうかな〜。」
街中を進みながら言う。
篠雨の返事はない。
「ちょっと〜。パトロール中、結構暇なんだから何か言ってよー。」
「うるせぇ。」
緑人が町に出ないかのパトロール。これが仕事。
と言っても、緑人はそんなに町に出てこない。
それを考えると前の交差点事件はちょっと異常だ。
「そういやさぁ〜あそこのお店めちゃくちゃラーメンおいしいんだよね!」
「無駄口を叩くな。」
「えー。」
そのとき篠雨が道路の端に車を停める。
「?」
車を降りると、篠雨は周りを見渡しながらバックのベルトを握る。
そのとき悲鳴が響いた。




