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GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD Ⅱ
38/64

38 彼



「!?」


人が雪崩のように一斉に走り出す。


人に流されそうになりながら、一瞬の隙間にそれを見る。


「緑人……」


なんで…ここに。


パトロールのときに起きたあの光景を思い出す。


緑人が…原因がないのに……緑人化した…


子どもの叫び声が頭に響く。


あのとき…何もできなかった……


俺は奥歯を噛みしめる。


「パドさん!大丈夫ですか!」


「大丈夫だ。」


パドが辺りを見渡しながら言う。


人の減り始めた空間に、一人の男性が後退りしている。


「?」


男性の前に一人の男性が立っている。


サングラスをかけていて身長が低い。そして。なぜかゲームの銃のようなものを持っている。


男性が怯えた声で言う


「やめてくれ…緑人にな(・)り(・)た(・)く(・)な(・)い(・)!(・)」


「!?」


篠雨が走り出す。


だが、笑顔でサングラスの男性が言う。


「バン!」


銃声が鳴る。


男性がうめき声を上げる。


花びらが落ちる。


雷の音とともに烏兎が男性の隣に立つ。


サングラスの男性の銃を篠雨が蹴り上げる。


「やべ。」


サングラスの男性は銃を落として床を転がる。


人は周りにほとんどいない。


烏兎が男性に注射をしている。


「それ…」


「抑制薬。これで緑人化を抑えられる。緑人になるんが100%やったら、10%までの緑人化なら治療できん

ねん。」


「!」


「今の進行度はだいたい2%。時間掛けられへんで。」


「わかった。」


俺たちは薬を飲み込む。


あの銃…なんなんだ。


サングラスの男性は俺たちをじっと見つめていたが、ニカッと笑う。


「チームプレイできてるし仲良さそうっすね〜。俺、ハルって名前っす。よろしくっす。」


篠雨が冷たい視線を向ける。


ハルが正反対の明るい笑顔で続ける。


「今日は…パドさんに用があって来たんっす。」


「!?」


こいつ…パドさんのことを知ってる……!


「その…スマホに入ってる情報。欲しいんっすけど。」


情報…!


パドは琥珀色の目でハルを見つめる。


ハルが残念そうに言う。


「絶対いやって感じっすね〜。でも…好都合といえば好都合っす。」


なんだ……!?


篠雨が刀を掴む。


斗花が緊張した面持ちで身構える。


ハルがニコニコと言う。


「パドさん。もうすぐ誕生日らしいっすね。」


「?」


突然始まった意味のわからない話に俺たちは戸惑う。


なんだいきなり……


「ちょっと早めの誕生日プレゼントっす。」


ふと気づく。


天窓の下に緑人が群れている。


だが、ハルの一言を合図にしたかの様に、緑人がフラフラと離れていく。


天窓から降り立つ陽光がスポットライトのように「彼」を照らしている。


パドが目を見開く。


白銀の髪。薄灰色の上着に濃いグレーのズボンを履いている。腰の左右に刀と脇差を一本ずつ差している。


耳飾りが太陽光を反射している。


「彼」は静かに目を開ける。


パドが一言もらす。


「し…でん……」


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