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GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD Ⅱ
34/60

34 即帰宅




丸メガネの男性が笑みを浮かべている。


鳴朝の後ろからスタスタと眠たげに、フランス人形のような見た目をした少女が出てくる。


鳴朝が言う。


「フレンが目的じゃなかったんさ?」


「まぁ、そうかもだけど。本命は君かなぁ〜。」


「……」


鳴朝の目にはゾッとするような冷たさが宿っている。


そのとき、道路のド真ん中で膝に顔を埋めていた眠が顔を上げる。


「撤退しよ。」


「?」


「来た。」


その一言と同時に明里が人混みから出てくる。


「やぁ。」


場違いな軽快さに変な空気が流れる。


丸メガネの男性が言う。


「これは監査局の局長。困ったね。」


「困った?逃げる算段があるからここまで大げさにやったんだろう?」


丸メガネの男性が鳴朝に視線を向けて言う。


「……まぁ、そんな感じかな。邪魔が入ったし今回は帰らせてもらうよ。」


その瞬間。


ボンッ!という大きな音とともに視界が白で染まる。


煙幕!?


煙が晴れたときには、眠たちの姿は消えていた。


パトカーの音が聞こえる。


警察が来て周りがざわついている中、明里が呼び止める。


「鳴朝。どこに行くつもりかな?」


「……」


逃げ出そうとする鳴朝の胸ぐらを掴んで言う。


「あっちのお誘いは断ったみたいだし、こっちにどうかな?」


「いや…人違い……」


「この状況で人違いで言い訳できると思ったのかい?」


「……」


この人が…風谷鳴朝。


すぐ横でフレンと呼ばれた少女が眠たげにアイスを食べている。


この状況でアイス……


「さて、帰ろうか。」


「…いや……ちょっと…」


鳴朝は目をそらして、焦った様子で逃げようとしている。


明里がさらに言う。


「そちらのお嬢さんを置いていくつもりはないし、大丈夫だよ。」


「…そういう問題じゃないさ。」


「……昔の君としてじゃなくて、風谷鳴朝として来てほしいんだ。」


「……」


昔の君?何の話だ?


「……分かったさ…。」


「いいのかい?」


「断っても連れて行くんだろ。」


「大正解。」


「……」


「さてと行こうか。」


夏のそよ風が吹いている。



・・・・・***・・・・・***・・・・・



俺たちの部屋には行かず、明里が旅館にある一つの部屋の襖を開ける。


中にいたパドが視線を向ける。


沈黙。


パドが驚きながら言う。


「何でお前が……」


「俺も聞きたいさ……」


俺は思わず聞く。


「え!?パドさん知り合いなんですか!?というかいつの間に来たんですか!?」


「一気に質問するな。」


「私が呼び出したんだよ。」


明里が笑顔で言う。


いつの間に……

「さてと帰ろうか。」


「?」


「どこにですか?」


斗花が首を傾げて明里に聞く。


「どこって…」



・・・・・***・・・・・***・・・・・



「ここ…どこだ。」


目の前の建物を見て俺は呟く。


篠雨が答える。


「監査局本部だ。」


「えっ!本部!?何で……」


「さぁな。」


建物の中を歩きながら、鳴朝に視線を向ける。


見ていると、全く強い人には見えない。


写真と雰囲気違うな……


斗花がキョロキョロ周りを見ている。


パドは慣れたふうに歩いているが、来たことがあるのだろうか。


そのとき明里が一つの部屋に入る。


陽光の差し込む部屋に小さな背中がある。


「大事な話があるんだ。」


リートは静かに言った。


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