↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD Ⅱ
32/61

31 休暇を兼ねた仕事



転倒した女性は立ち上がると謝る。


「いや、全然……」


俺がいいかけたとき明里が女性の肩を叩いて言う。


「斗花。私に用があったんだったら、通り過ぎてるよ。」


「すみません……」


斗花?


「さてと、ここだね。」


明里が少し歩いた先の部屋の扉を開ける。


「斗花も入って。」


「はーい。」


なんだ…?どういうことだ……?


突然現れて明里に入れと言われている謎の女性に、烏兎が「?」と首を傾げている。


篠雨もよく分からないようだ。


部屋の畳の上に若干緊張した面持ちで斗花は正座する。


篠雨は飴を取り出して口に放り込む。


ニコニコしているのは明里だけで、俺たちは疑問の表情をしていた。


斗花が話し出す。


「え、えっと、新人の日暮斗花(ひぐらしとはな)です!よろしくお願いします!」


「よ、よろしく…。ん?日暮?」


聞き覚えのある苗字に俺は首を傾げる。


「えっと…凰理さんの同期の日暮昼斗の妹です。」


「へぇ〜妹。って、ええぇぇ!?妹いたの!?」


「は、はい。」


知らなかった俺の大声にちょっと驚いたように、斗花が言う。


篠雨は興味なさげ。


烏兎は驚いている。


「昼兄(ひるにい)は聞かれないと自分のこと話さないので……」


「言ってないこと多くない!?俺、学校卒業したあともずっと昼斗と連絡とかしてたのに、妹のことも局長

になったことも聞かされてないんだけど!?」


篠雨はぽつりと「昼兄って昼斗のことか。」と呟いている。


「実はもう一人いて……」


「え…三人きょうだいなの……。」


「はい。兄がもう一人。」


「……何も知らないんだけど。」


篠雨がぽつりと言う。


「もう一人って、監査局の副局長か。」


「はい。」


「え!?なんで篠雨が知ってんの!?」


「声がデケェ。副局長の苗字が日暮だったこと思い出しただけだ。」


「え…。」


烏兎が明里に聞く。


「でも、なんでいきなり斗花ちゃん?の自己紹介…?」


「ちょっと四人でやってほしいことがあってね。」


「仕事……」


「人探しを手伝ってほしいんだ。」


「人探し?」


明里が写真を取り出す。


そこに映っているのは少し目つきの悪い、青灰色の目をした男性だった。


突然烏兎が驚いた声で言う。


「あ!この人、宗教団体の任務のとき、大男から助けてくれた人や!」


「え!?」


明里が言う。


「この人は風谷鳴朝って言ってね。元戦闘員。篠雨は会ったことあるよね?」


篠雨がコクリと頷く。


元ってことはやめたのか?


明里が続ける。


「特(・)別(・)任(・)命(・)で戦闘局に入局。たったの一年で副隊長まで昇格した。ものすごく強い人さ。本当はもっと上まで行けたんだけど、本人が嫌がってね。」


「何でですか?」


「恩(・)人(・)と一緒がいいから行きたくないってさ。」


恩人?


「まぁ、その話は一旦置いといて、彼が私の実家付近に休暇か何かでいるらしくてね。ここに連れてきてほ

しいんだ。」


烏兎が


「わかりました…せやけど何で……」


「詳しくは言えないけど誰(・)か(・)に彼が狙われてるらしくてね。」


「!?」


「保護したいからってわけさ。でも彼はたぶん普通にはついてこないから、説得してほしい。無理だった

ら、私がするから呼んでね。」


「はい!」


俺は元気よく返事をする。


「あと…今は多少マシだろうけど昔は彼、血の気が多すぎるぐらいだったから気をつけてね?」


「はい…?」


血の気が多すぎる?……それにしても特別任命かすごいな。


特別任命というのは優秀で強い人のみ、一、二年早く戦闘員などになれる制度だ。


「私は外せない仕事があるからいってらっしゃ~い。」


明里はパソコンを取り出しながら言う。


「はい!」


俺は元気よく返事をした。



・・・・・***・・・・・***・・・・・



蝉の声が聞こえる。


一人の男性が青空を見つめている。


大きな入道雲が山の向こうから、空を覆っている。


丸メガネの男性が言う。


「桜乃、いつまでぼーっとしてる気だい?景色を楽しむっていう君の感性は理解しにくいね。」


桜乃は振り向いて言う。


「それは残念だ。」


「とりあえず仕事だよ。眠が見つけたらしい。」


「わかった。行っど。」


桜乃は歩き出す。


近くにいたリゼが丸メガネの男性に聞く。


「『行くよ』って言ったの?」


「うん。薩摩弁だよ。」


「…なるほどね。」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。