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GREEN RECORD  作者: ミズイロみかん
GREEN RECORD Ⅱ
29/64

28 明里



篠雨が椅子をガタッと揺らして立ち上がる。


「明里(あけさと)さん何でここに……!」


「いたらダメだったかな?」


「いや、そういうわけじゃ…」


何だ……?誰だ?


俺は烏兎に聞く。


「誰か知ってる?」


「いや、知らん。」


明里という女性が言う。


「初めまして。」


「は、初めまして……」


そのとき、パドの大声が響く。


「明里!!」


「やぁ、パド。久しぶりだね。」


数人の隊員が何事かと振り向いている。


「お前…!連絡もなしになんでここに……」


「別にいいじゃないか。」


「よくない!」


「それにしても相変わらず細いね。ちゃんとご飯食べてるかい?」


「余計なお世話だ!それに今その話はしてない!」


「話変えたかったのに。」


「変えるな!!」


「パドって面白いけど真面目な所多いよね〜。」


「話を変えるな!」


誰だこの人?知り合い??


頭が疑問でいっぱいになる。


「さてと、この子たち借りるよ。」


「何の話だ。説明しろ。」


「え〜。」


「あの…パドさん。この人って……?」


俺が聞くと明里がニコニコしながら答える。


「自己紹介が遅れたね。私は霞城明里(かじょうあけさと)。監(・)査(・)局(・)局長で篠雨の育て親さ。」


へぇ〜って、ん?


「育て親!?」


「監査局!?」


俺と烏兎が驚いた様子で言う。


篠雨は無表情で黙っている。


烏兎が聞く。


「か、監査局の局長がなんでここに……」


「監査局って何だっけ……」


「何で知らへんねん……。諜報とか組織内の不正を取り締まったりする部署や。」


「なるほど……」


そういやそんなのあったな……


明里が言う。


「私の実家に行こうと思っていてね。一緒にどうかな?」


「ちょっと待て。何を企んでる。」


「企んでるなんて人聞きが悪いよ?パド。ちゃんと旅費も出すし。怪我の療養も兼ねた休暇を楽しんでほし

いんだよ。」


「休暇を兼ねた仕事の間違いだろ。」


「違うよ。ちゃんとした休暇さ。」


「嘘をつくな。目が笑ってないぞ。」


「君こそ相変わらず目つきが悪いね。」


「今その話はしてない!」


「篠雨は行くよね?」


「はい。」


「君たちは?」


聞かれて俺は即答する。


「行きます!!!」


「言うんはやっ!」


「そういう烏兎はどうするんだよ!」


「え〜。どないすんって言ってもなぁ……まぁ俺、怪我してないし仕事兼ねてでもええか……。」


「ということで、パド。借りてくよ?」


明里が爽やかな笑顔で言う。


パドは苦いものでも飲み込んだような顔をしている。


蝉の声が響いた。



・・・・・***・・・・・***・・・・・



足音が響く。


無機質な金属でできた観音扉が開く。


ノワールは赤いビロードの絨毯に足を踏み出す。


円形の机の上にトランプが散らばっている。


空っぽの椅子がいくつかある。


椅子に座った人物が数人、ノワールに視線を向ける。


一人の少年が頬杖をついて言う。


「ノワール久しぶり〜。」


ボブカットの黒髪に鉄紺色の瞳が不気味に笑っている。


その横で一人の男性が椅子の上で膝を抱えて座っている。


白いイヤホンが耳についている。


リゼが不満そうな表情で椅子に座っている。


アフタヌーンドレスの女性が指を鳴らす。


トランプが消えて人数分の紅茶が現れる。


その女性は微笑んで言う。


「始めましょ?」



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