22 撃破
篠雨は刀を振る。が。
茶髪の男とフッと位置が入れ替わる。
ツタが飛んできて、俺は紙一重で避ける。
転移系の魔法と植物か……俺をここに連れてきたのはこいつだな。
近づいたところで逃げられるだけだ。
そのとき、眼前に茶髪の男がフッと現れる。
ツタが刀に巻きついてきしむ。
「なぁなぁ〜。めんどくさいから早く死んでくれよ。」
「……」
「ちょっと、無視するなよ〜。」
あまりにも喋り掛けてくるものだから、凰理を思い出してため息をつく。
俺はパッと刀を離す。
力を込めていた茶髪の男が前によろける。
腕を掴んで、地面にねじ伏せる。
素早く手錠のようなものを腕につける。
男が位置を入れ替えようとしたのか、もぞもぞ動いていたがぽつりと言う。
「あれ?」
俺は刀を拾ってバックにしまう。
「あの〜もしかして、この手錠って魔法使えなくするやつですか……?」
「あぁ。そうだ。」
「なんで持ってんの。」
「お前みたいなやつがいるからな。」
「……」
…とりあえずここから出るか。
「凰理たちと出口はどこだ。」
「え〜。どうしようかな〜。」
「さっさと言え。一分ごとに指切り落とすぞ。」
「え!こわっ。って、刀構えないで!怖い怖い。マジでやる気じゃん。」
「さっさと言え。」
緑人がうめき声をあげている。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
岩とナイフがぶつかる。
リゼが笑顔で言う。
「ほらほら、魔力なくなってきたんじゃない?なくなったら死んじゃうよ〜?」
烏兎は汗を拭う。
朔羽は拳を握りしめて立っていた。
銃で撃つには、二人の動きが早すぎて誤射するかもしれない。
だからといって、このまま放っておけば……
そのときリゼが言う。
「それにしても、後ろの子さぁ。何にもしてないね〜。」
「……」
「魔法使えないらしいし、誤射するかもしれないから何もできない。弱虫の役立たずでかわいそ〜。」
朔羽は唇を噛みしめる。
そのとき烏兎が笑顔で言う。
「そんな事ないよ。カメラの映像見つけたん、朔羽くんやしむしろ、手がかり見つけてない上に敵も倒せへ
ん俺のほうが役立たずや。」
「へぇ〜?でもさぁ〜本当にそう思ってるの?」
烏兎が明るい声で言う。
「思っとるよ。それに、今できなくても朔羽くんはまだまだこの先時間あるし、きっと強くていい人にな
る。」
明るいその声とは裏腹に、どこかその目にはメランコリーな影がある。
リゼが顔をしかめて言う。
「なにそれ。意味わかんなーい。」
朔羽はただ烏兎を見つめる。
雷が鳴る。
さっきよりも早く。リゼの目の前に現れる。
リゼが手のひらを烏兎に向けたとき、くらりとリゼが倒れる。
「ふぅ〜。疲れた…魔力使いすぎたなぁ……」
烏兎が床に寝転がる。
「朔羽くんは怪我してない?」
「僕はしてないけど…あんたは……」
「大丈夫大丈夫。ちょっと疲れただけ。」
「…。あれ、どうやったんだよ。」
倒れたリゼを見ながら朔羽は聞く。
「えっとな、スタンガンあるやろ?」
「うん。」
烏兎がピースを作る。
指の間で電気が鳴る。
「それと同じ。」
「なるほど……」
そのとき、誰かが入ってくる。
「けっ。やられてんじゃねぇか。役立たずな上司だぜ。」
黒スーツの大男。ノワールといたあの男だった。
「まぁ、弱ってるみてぇだしさっさと殺すか。」
烏兎が息切れをしながらナイフを構える。
朔羽の頬から汗が流れ落ちる。
蝉の声が響く。
どうする……
そのとき、足音が響く。
わざと響かせているようだった。
コツーン、コツーン、コツーン。
足音がピタリと止まる。
寒気がする。
アビエイターゴーグルと青灰色の瞳が光っている。
黄色いスタジャンが目立つ。
その男は静かに小さなナイフを見せた。




