21 知らない
黒い廊下を進む。
夏帆が緊張した面持ちで歩いている。
凰理は静かに進む。
篠雨……
そのとき次は黒い扉が現れる。
俺は静かに開ける。
何だここ……
上を見上げると天窓から陽光が差し込んでいる。
レカムがその陽光の下に立っていた。
「霞城さんはあなたたちにとっては無事ですよ。」
「……」
「もう一つ…あなたたちのお仲間の天城さまのところに一人、こちらの者が向かいました。」
「なっ……!」
何でこいつらが烏兎のこと知ってるんだ……!
レカムが微笑む。
「みなさんは私がお相手します。」
俺は炎帝を握って走る。
そのときフッと景色が変わる。
ぶつかりそうになって俺は足を止める。
「夏帆!?」
「凰理!?」
反対方向にいたはずなのに……あれ…?
「日月と昼斗がいない!」
「というか、ここどこ……」
さっきと違う、白い狭めの部屋だ。
もう一つ言うと、緑人が三人いる。
昼斗は大丈夫だとしても……日月…
俺は拳を握りしめる。
・・・・・***・・・・・***・・・・・
天窓から陽光が差し込む空間で昼斗はただ一人、レカムを見つめて言う。
「何で僕だけ残したの?」
「少し聞きたいことが。」
「…?」
「こんな任務にあなたが出てくるのはおかしいと思ったんです。」
「何のことかな。」
「とぼけなくても大丈夫ですよ。」
レカムが目を細めて言う。
「”情報通信管理局”局長、日暮昼斗さん。」
組織にはいくつかの部署がある。
烏兎の所属していた医療局や戦闘員が所属する戦闘局。
そして情報通信管理局は緑人が現れた際の通報の対応や、組織の情報管理、戦闘員への連絡をする。
「僕も一応戦闘員だから。」
「でも、この任務にあなたのような幹部を送らないと思いますが。」
ぼんやりした目で僕はレカムを見つめる。
「気づいているのですか?」
レカムの問いに静かに答える。
「うん。気づいてるよ。緑人をたくさんここに閉じ込めてること。そのために来た。」
昼斗は拳を握る。
突然、レカムが喉を押さえてうずくまる。
昼斗はゆっくりレカムに近づく。
「君は知らないことが多すぎる。」
「っ…」
拳を開くと、レカムの止まっていた息が吐き出される。
「僕のこともみんなのことも。」
「何を……」
「そのままの意味だよ。」
昼斗のぼんやりとした瞳に暗い明かりが灯る。
「邪魔だから殺そうとしたんだろうね。でも君は一番大事な情報を掴んでない。僕たちの強さを測り間違え
たんだよ。」
レカムの瞳が昼斗を睨む。
昼斗が微笑む。
「どうする?僕は別に君の息を止めて殺しちゃってもいいけど。」
「……」
「今なら誰も見てないし、情報操作は得意なんだよね。」
「何を……」
「冗談だよ。昔から倫理観がちょっと抜けてるって言われるけど、こういうところなんだろうね。」
レカムの顔から血の気が引いていく。
昼斗がカタンと首を傾ける。
「自分の巣穴に敵を招待しちゃダメだよ?」




